IPA(独立行政法人情報処理推進機構)は、日・米・独企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)動向をまとめたレポート「DX動向2025」を6月26日に公開。三カ国での比較からDXの差異を抽出している。
日本企業でのDXへの取り組みもこの数年で着実に進んでおり、実施する企業は大企業中心となるが"米企業や独企業と肩を並べるかそれ以上"。日本企業は、コスト(人件費、材料費)削減を経営面での成果の比重が高く、業務効率化や生産性向上が中心であるのに対して、米独では売上高増加、利益増加などバリューアップを中心とした取り組みでの成果が多い。明らかに日本企業と米・独企業では成果の質に違いがある。
レポートの概要では、"デジタルトランスフォーメーションに分類される取組項目の多くで成果創出に至っていない状況"と売上や利益といったデジタルトランスフォーメーションの最終目的ともいえるこの課題への遅れを指摘。
この差はどこから来るのだろうか?
個別の業務プロセスの改善にとどまる日本企業が「部分最適」であるのに対して、米・独企業のDXは新たな価値創造を目指す「外向き」、業務プロセスを企業・組織全体で最適化しようとする「全体最適」だという。
"経営層・IT 部門・事業部門の部門間連携や、外部組織との連携、DX戦略のステークホルダーへの共有が米独に比べて著しく弱く、サイロ化が進んでいる。"と連携の弱さへの指摘が痛切だ。
ある部門がDXによるマネタイズに取り組もうとするとリスク判断などで別部門が非協力的になる。であるならば、他部門とは無関係で進められる業務効率化や生産性向上にという動きがあるのかもしれない。
「全体最適」であれば、協力体制を進めることで全社での売上や利益貢献といったデジタルトランスフォーメーションの最終目的が見えてくる。