【国土交通省】全国2057地区 「交通空白」解消が課題に

国土交通省は、地域住民がバスやタクシーを利用できない「交通空白」地区が、全国に2057カ所あるとの調査結果をまとめた。同省は25~27年度を集中対策期間と位置付け、財政支援や新たな制度創設を通じて、3年間で全地区の空白解消にめどを付ける方針だ。

          中野洋昌・国交相

 調査は今年2~3月、全1741市区町村を対象に行い、回答率は92%だった。その結果、空白地区は計2057カ所(717市区町村)に上ることが判明。この中には、一般ドライバーが有償送迎する「ライドシェア」や乗り合いタクシーといった対策を始めたり、準備段階まで進んだりしている地区もあるが、655カ所は検討段階にとどまっている。

 地域交通法は、自治体に交通網の再編に向けた「地域公共交通計画」を作る努力義務を課している。国交省は、各自治体がこの計画に基づき、近隣自治体や交通事業者と連携して対策に取り組みやすくするため、新たな制度を作る方針だ。ライドシェアなどの対策は単独自治体では難しい場合もあるため、近隣や事業者と共同での導入を促す。

 同法では、自治体が計画策定のために事業者などと協議会を設置できると定めており、今でも共同で対策に取り組む自治体はある。

 同省担当者は「現行でできないものをできるようにするというよりは、できるものをさらに進める制度になるだろう」と説明。財政支援や運用改善、共同での対策実施に関する記述を同法に盛り込むといった法改正も含め、手段を議論する。

 同省幹部は「現在は単独自治体を前提とした制度体系になっている。自治体同士や事業者との連携を進めるに当たってボトルネックがあるなら、しっかりつくり直していきたい」と話した。

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