第一三共ヘルスケアは6月16日、真皮における線維芽細胞の老化によって生じる慢性炎症(SASP)が、肌表面の細かい凹凸の形成に影響を与えることを確認したと発表した。この研究成果は、6月13日〜15日に開催された日本抗加齢医学会総会で発表された。
研究の結果
同社はこれまでの研究で、加齢に伴い肌表面の凹凸が増加することや、高齢者由来の線維芽細胞が炎症性物質や酵素を分泌し、真皮において慢性炎症を引き起こすことを確認していた。
今回、こうした慢性炎症(SASP)が肌表面の凹凸形成にも関与している可能性があると考え、老化した線維芽細胞が表皮細胞に与える影響と、SASP因子の関与について検証を行った。
今回、老化の程度が異なる線維芽細胞を用いたクロストーク実験を実施した結果、老化した線維芽細胞と共培養した表皮モデルでは、角層を含む表皮層の厚みが増し、肌表面の凹凸が顕著に増加する傾向が確認された。
また、角層の構成因子であるFLGや、成熟に関与する酵素であるKLK5 やKLK7の遺伝子発現が増加し、表皮の成熟が乱れることが凹凸形成の一因であると考えられるという。
さらに、老化した線維芽細胞が表皮層の厚みを増し、角層への成熟過程を乱すことで肌表面に凹凸を生じさせることが明らかになったほか、老化細胞由来の炎症因子(SASP因子)が表皮細胞の成熟や角層形成に悪影響をおよぼすことも示唆された。
これらの結果から、加齢にともなう真皮の慢性炎症を抑えることが、肌の凹凸の予防につながる可能性があるとしている。
同社は、今回の知見を製品開発に応用することで、肌環境を整え、QOL(生活の質)向上につながる新たなソリューションの提供を目指すとしている。