富士通、富士通ネットワークソリューションズ、金沢ケーブルは6月24日、カメラを使わずミリ波レーダを使用してプライバシーを保護しながら高度な見守りを実現する富士通の「Fujitsu ミリ波レーダ見守りシステム」を用いた実証で有効性を確認したことを発表した。
今回の実証では、仮設住宅の居室内における居住者の在室や不在、転倒や特定の位置に長時間滞在している状態などの異常事態の検出について、能登半島地震に伴い建設された仮設住宅で実施した。
実証実験の概要
近年は激甚化する自然災害などにより予期せぬ事態が常態化しており、長期にわたって仮設住宅での避難生活を余儀なくされるケースが増加している。そうした生活では独居高齢者の安否確認や入居の長期化に伴う健康面とプライバシーの確保が重要になっており、それらを解消するための巡回や訪問の人手不足は深刻な社会課題となっている。
3社はこうした課題の解決に向けて、石川県能登町のご協力の下で仮設住宅の居室内にミリ波レーダ装置を設置し、家具などの障害物がある環境下でミリ波による見守りについて検証を実施した。実証期間は3月10日(月)~6月9日(月)。
実証実験内容と検証結果
実証では、居室内の寝室として利用される洋室の床面から1.8メートルの場所にミリ波レーダ装置を設置し、居住者の位置を点群データとして捉え、リアルタイムにクラウドへ転送した。その後、「ミリ波レーダ見守りシステム」に搭載された富士通独自のAIでデータを分析した。
これにより、居住者の在室 / 不在、居室内での滞在位置や行動量をヒートマップや時間別のグラフデータとして可視化するとともに、転倒などの異常事態をAIで検知する検証を行った。
その結果、介護施設や商業施設などとは建材が異なる仮設住宅においても、同程度の性能で居住者の状態を検知でき、居住者へヒアリングした実際の状況とも差異が無いことが確認されたという。