米Anysphereは6月17日(現地時間)、AIコードエディタ「Cursor」向けの新たな上位サブスクリプションプラン「Ultra」を発表した。パワーユーザーや法人ユーザーのニーズに応える構成で、料金は月額200ドル(年契約で160ドル/月)となっている。

これまでCursorでは、試用や初心者向けに適した無料の「Hobby」プランと、一般開発者向けの月額20ドルの「Pro」プランが提供されていた。

Ultraプランでは、「Pro」プランの20倍に相当するAIモデルの利用枠が提供される。利用可能なAIモデルには、OpenAI、Anthropic、Google DeepMind、xAIといった業界をリードする企業のものが含まれており、ユーザーはプロジェクトに応じて最適なモデルを選択できる。さらに、Ultraプランの契約者には、今後リリースされる新機能への優先的なアクセス権も付与される。

このプランが導入された背景には、一部の高頻度ユーザーからの強い要望があった。Proプランでは、プレミアムモデルの利用回数が月500回に制限されており、その上限に達した場合、使用料に応じた従量課金制を選択することで高速なプレミアムモデルの継続利用が可能になる。しかし、従量課金制は利用料金が予測しづらく、頻繁に利用するユーザーにとっては不安要素となっていた。このようなニーズに応えるため、Anysphereは主要なAI開発企業との複数年にわたるパートナーシップを通じて、大規模なコンピューティングリソースを定額で提供できる体制を整えたと説明している。

Ultraプラン導入に伴い、既存のProプランも一部仕様が変更された。従来の月500回のリクエスト制限は、「レート制限付きの無制限」に移行し、より柔軟な運用が可能となった。既存ユーザーが従来の「500リクエスト制限」方式を希望する場合、「設定」から旧方式を選択することも可能である。

また、Proプランでは、無料プランで制限されるエージェント機能やコード補完が無制限になり、バックグラウンドでの作業支援やバグ検出支援、さらに最大サイズのコンテキストウインドウへのアクセスも提供されている。

AIコーディングツール市場は競争が激化しており、OpenAIがCursorの競合である「Windsurf」を買収したと報じられているほか、Anthropicも自社製AIコーディングツール「Claude Code」の開発を進めている。

こうした厳しい競争環境の中で、Anysphereは二つの戦略を推進している。一つは、主要AI企業との複数年契約に基づく安定した協力関係の構築である。もう一つは、自社独自のAIモデル開発である。外部依存を減らし競争力を高めるため、Anysphereはコーディングタスクに特化した独自モデル「Tab」を開発している。