【農林水産省】新大臣に小泉進次郎氏 備蓄米放出は随意契約に

コメ価格が高止まりする現状への対応を巡り、ついに農水相が交代する事態に至った。

 昨年秋に就任した江藤拓氏は、5月18日に佐賀市内で開いた講演で「私はコメを買ったことがない。支援者の方々がたくさんコメをくださり、売るほどある」と発言。庶民感覚からかけ離れているとして国民から非難を浴び、結局、江藤氏は辞表提出を余儀なくされた。

 江藤氏の後任に起用されたのは小泉進次郎氏。21日夜の就任記者会見では、備蓄米の入札中止とともに随意契約を検討する考えを示し、江藤氏との違いをアピールした。

    小泉進次郎・農水相

 農林水産省が発表した5月12~18日のスーパーでのコメ販売価格(税込み)は、5キログラムで前週より17円高い4285円だった。コメ価格は4月28日~5月4日に18週ぶりに下落したが、その後は再び上昇に転じている。3月上旬に4千円を超え、前年の2倍を超える高値が続いている。

 備蓄米の放出にあたり、政府は一般競争入札で高値を示す業者に売り渡してきた。これまでの入札では全国農業協同組合連合会(JA全農)が大半を落札したものの、中小のスーパーや米穀店にはコメが行き渡らず、価格が高止まりしているとの指摘が根強い。

 小泉氏は、こうした状況から大手の小売業者を対象とした随意契約に切り替えたわけだが、備蓄米の購入申請が殺到した結果、受け付けを一時中止した。対象を中小のスーパーや米穀店に切り替えて再開する方針だ。数年前の古米を対象に流通量を増やし、価格を引き下げる狙いがある。

 発信力に定評がある小泉氏は、コメ問題でもSNSを駆使している。ただ、主食のコメを巡る国民の目は厳しくなる一方で、言葉より成果が求められている。

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