Microsoftは5月22日(現地時間)、Windows Learning Centerの「Discover Smart App Control」において、Windows 11のセキュリティ機能である「スマートアプリコントロール」について解説した。

スマートアプリコントロールとウイルス対策ソフトウェアを組み合わせることで、幅広い脅威に対してより強固な防御を実現できる。

  • Discover Smart App Control|Microsoft Windows

    Discover Smart App Control|Microsoft Windows

ウイルス対策ソフトの弱点を補完

スマートアプリコントロールは、Windows 11で2022年より利用可能になったセキュリティ機能である。従来のウイルス対策ソフトは、システムをスキャンして疑わしいファイルやプログラムを見つけることで脅威からPCを保護する。この方法は、既知の脅威を特定して排除するのに効果的な一方で、新しい脅威や巧妙な脅威に対する即応性という点では課題がある。

それに対してスマートアプリコントロールは、アプリケーションが実行される前にその安全性を評価し、信頼できないアプリの実行を防ぐというアプローチでPCのセキュリティを強化する。

アクティブなファイルのスキャンが不要

スマートアプリコントロールでは、Microsoftのクラウドベースのセキュリティサービス「Intelligent Security Graph」を活用し、アプリのデジタル署名や過去の実行履歴などを基に安全性を判断する。これにより、未知の脅威や新たなマルウェアに対しても迅速に対応できるという利点がある。

さらに、従来のウイルス対策ソフトのようにアクティブなファイルを常にスキャンする必要が無いため、システムリソースへの負荷が軽く、PCのパフォーマンスを維持しながら高いセキュリティを提供できるという。

ただし、スマートアプリコントロールの導入には、Windows 11のクリーンインストールが必要で、既存のシステムに後から追加することができないという問題もある。また、一度無効化すると、再度有効化するにはWindowsの再インストールが必要となる。

ウイルス対策ソフトの弱点を補

なおMicrosoftは、スマートアプリコントロールは従来のウイルス対策ソフトに代わるものではなく、補完するものとして設計されている点を強調している。最適な保護のためには、これらを組み合わせて利用するのが効果的だという。

Microsoftがこのタイミングでスマートアプリコントロールのメリットを強調するのは、Windows 10から11へ乗り換える理由の一つになるからだろう。スマートアプリコントロールはWindows 11でのみ利用可能なため、Windows 10ユーザーにとってはアップグレードによって強固なセキュリティを手に入れることになる。

Windows 10からWindows 11への移行を検討しているユーザーは、ぜひクリーンインストールによってスマートアプリコントロールを有効にすることをお勧めする。