ソフトバンクは、同社が経産省に提案した「サウジアラビア王国における高精度測位サービスの事業展開に関するマスタープラン策定等調査事業」が採択されたことを受け、同国で調査を始めると5月22日に発表。国内で展開している高精度測位サービス「ichimill」(イチミル)で培った知見を生かす。
経済産業省では、国際社会における影響力が増している新興国や途上国(いわゆるグローバルサウス諸国)の市場活性化や、日本との経済的連携強化を目的として、「令和5年度補正グローバルサウス未来志向型共創等事業委託費におけるマスタープラン策定等調査事業を実施する再委託先事業者」を公募。その2次公募採択事業者のひとつとして、ソフトバンクの提案が採択されたかたちだ。
サウジアラビアは、石油依存型経済からの脱却と、多角的かつ持続可能な経済の実現に向けた成長戦略「サウジ・ビジョン2030」を掲げ、長期的な経済成長と社会構造の改革に取り組んでいる。同国が進める、スマートシティを中核とする未来都市計画「NEOM」では、物流の効率化や交通インフラの最適化など、都市機能を安全かつ効率的に運用するさまざまな取り組みが推進されており、それらを支えるインフラ基盤として、高精度測位技術の導入が期待されている。
ソフトバンクは、国内で高精度測位サービス「ichimill」を展開しており、幅広い事業分野で導入実績をもつ。サウジアラビアでは、インフラ整備に必要な高度な建設技術や、さまざまな分野での自動化・高度化を支える技術のニーズの高まりが予想され、同社はこれまでの知見も踏まえて、高精度測位サービスの事業展開を見据えたマスタープランの策定調査を進める。
具体的には、高精度測位サービスを実現する上で必要になる、インフラに関する課題の分析調査や、普及に向けた政府へのインフラ整備の提案および戦略の構築に取り組む。サウジアラビアで高精度測位サービスが展開されることで、さまざまな産業のDX(デジタルトランスフォーメーション)が促進され、長期的な経済成長が期待できることに加え、日本で「ichimill」を利用する企業がサウジアラビアで高精度測位サービスを活用した事業を展開するなど、日本企業にとっても新たなビジネスチャンスの創出が期待できるとのこと。
ソフトバンクは、この調査を通してサウジアラビアと日本の政府機関と連携しながら、今後3年以内にサウジアラビアの国家政策としてマスタープランが採用されることを目標に、取り組みを進めていく。