ソフトバンクは7月16日、ALESと共同で「RTKコンパス」という高精度測位や姿勢角の計測が可能な装置を開発し、2023年11月から2024年3月にかけて東京大学深尾研究室や京都大学飯田研究室などと、「RTKコンパス」の性能評価および活用に向けた共同研究を実施したことを発表した。共同研究では、農業機械や船舶などに「RTKコンパス」を搭載することで、遠隔地から高精度な位置情報や進行方向、傾きなどを計測できることが確認された。
「RTKコンパス」は、ソフトバンクが提供する高精度測位サービス「ichimill(イチミル)」とALESの計算アルゴリズムを組み合わせたデバイス。ジャイロセンサーや加速度センサーなどの複数のセンサーを内蔵し、高周波出力にも対応するため、高速で移動するモビリティーに搭載して利用する場合でも、高精度な位置情報や姿勢角の計測が可能だという。また、自動運転や遠隔制御、運行管理など多用途で活用できるとしている。
ソフトバンクは、2019年11月から「ichimill」を提供しており、モビリティー事業に従事する顧客から高精度な位置情報だけでなく、進行方向や傾きといった車両の姿勢に関する情報を求めるニーズを受けて「RTKコンパス」を開発したという。
共同研究では、傾斜地を走行する農業機械や内海を航行する船舶などに「RTKコンパス」を搭載して取得したデータを評価。データの推移から傾斜地や海上、中山間地域などのさまざまな場所で、農業機械・船舶の姿勢に関するデータを正確に取得できることを確認したほか、他社製品との性能比較でも精緻なデータが得られたという。
また、国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所が開発を進める、船舶の自動航行システムに「RTKコンパス」を組み込んで実験を実施し、船舶の位置情報および姿勢角の情報を安定して計測できることを確認したということだ。