西洸人・インターネット・アカデミー社長の 「人生の転機」【親代わりだった祖母との別れ】

「世界の人々に教育を」を経営理念とする当社は1995年10月、日本初のインターネット専門スクールとして創業、のべ9万人の卒業生を出しています。私は2010年の入社で、リーマンショックの尾を引くなか、企業を支援して日本を明るくしたいという思いがありました。

 IT分野は日進月歩で情報がアップデートされ、それが生産性向上にもつながる。そんなITの奥深さを知り、不足している技術や情報を広めたいという使命感も芽生えました。入社3年目に提案したのが、法人向けのIT研修事業です。当時の事業の柱は個人受講生向けで、新たに企業に電話するところからスタート。初めは成果が出ませんでしたが、約2年後、本田技研工業さんに導入いただき、事例と自信も得て、そこから加速度的に増えました。のべ1000社以上で導入され、今では個人向け事業に並ぶ会社の柱となっています。

 この間、18年に執行役員、22年に36歳で社長に就任しました。経営理念のすばらしさや、スタッフの充実で当社は今後も伸びていくという確信もありました。私が会社を運営するなかで大事にしているのが、明るさです。明るくない、活気がない会社、人は愛されない。明るくないと好循環を生まないと思うからです。こうした考えの原点ともいえる人生の転機が祖母との死別でした。

 私は母親が生後間もなく亡くなり、父が会社経営をしていたため、父方の祖父母が親代わりで面倒をみてくれました。とくに祖母には、相手のことを一番に考えることなど、生き方を教えられました。一方で、祖母に母親らしいことを求める私は、老いなどから満足にそれに応えられない祖母を許せず、ひねくれたりもしました。その祖母が、私が中学3年の正月、心筋梗塞で急逝したのです。祖母への申し訳なさもあって、大泣きしました。以来、それを超える悲しさはないほどですが、その後、友達や伯母、いとこたちがずっと私を気にかけて励ましてくれて、助けてもらっているのだと気づいてから明るくなりました。つらい出来事を乗り越えて初めて、本当の明るさを知るのだと思います。

 祖母のこともあり、社長になって始めたことがあります。何より社員の健康を重視し、月に一回、健康に関する研修や、パーソナル・トレーニングの費用助成などの福利厚生。そして、社員を支えてくれる家族ら大切な人の記念日にギフトと私からのメッセージを贈るサンクスギビングデーを実施しています。縁と感謝を大事に、社員には一人残らず健康で明るく、幸せになってほしいと思っています。

1992年夏、小学校入学前の西社長と祖父母。「今でも一番尊敬しています」と2人への感謝を忘れない。