
「グローバル展開をしている企業同士がアライアンスを組むことで関税の障壁を乗り越えられないか」─。
旭化成社長の工藤幸四郎氏はこう話す。
トランプ関税がグローバル企業の経営を揺さぶっている。旭化成も例外ではない。だが、工藤氏は「立ち止まっているわけにはいかない」と強調し、競合他社との連携で、関税を回避するような製品融通ができないかを検討中。当然、カルテルにならないようにする必要はある。
旭化成は2024年、以前から注力してきた湿式セパレーターに関し、カナダで約1800億円の投資を決定した。北米市場での車載用電池需要の増大を見込んだ投資だった。
だが、環境対策に後ろ向きなトランプ大統領の登場で不透明感が漂う。工藤氏は「(工場の)第1期は予定通り。しかし、2期以降は慎重に考えている」、「環境関連の投資はスローダウンすることは間違いない」とも話す。
一方で、「『それでもやるんだ』という企業が明らかになった」とトランプの「先」を睨む企業との連携に希望を見出す。
成長領域として住宅事業を挙げ、こちらも北米市場での深耕を狙う。トランプリスクはある中でも、中長期視点で大変意義のある投資だとして、セパレーターも住宅も、付加価値のある事業として市場開拓を目指す覚悟だ。