【総務省】ふるさと納税返礼品シャインマスカットが産地偽装

総務省は、長野県須坂市がふるさと納税の返礼品として提供していたシャインマスカットに産地偽装があったと発表した。

 仕入れを担っていた「日本グルメ市場」(和歌山県)が、山形県産が混在していたにもかかわらず、長野県産として出荷していた。総務省は、返礼品の地場産品に関する基準に違反する可能性があるとして、制度からの除外を含め市への対応を検討している。

 ふるさと納税の返礼品ではこれまでも別の自治体で肉や海産物の産地偽装が起きており、総務省は産地の適正表示などを求めている。村上誠一郎総務相は、「制度に対する信頼を損ないかねない重大な事案。結果として返礼品産地を偽装してまで寄付の募集が行われたとすれば、大変ゆゆしき問題だ」と述べた。

 総務省によると、日本グルメ市場は2019年から24年にかけて、山形県産が混在するシャインマスカットを「長野県産」と表示して市に販売。長野県内の他の市で収穫したシャインマスカットを混ぜていたケースもあった。

 市が産地偽装のシャインマスカットにより受け付けた寄付は5年間で約1万件、寄付額は約1億23000万円分に上る。市は昨年12月に産地偽装を把握していたが、その後も寄付の受け付けを続けていた。

 三木正夫市長は記者会見で「偽装の継続を認めていたものではない」と釈明。同社の説明を受け、今後は混在は起きないと考えていたという。

 市の23年度のふるさと納税寄付額は約39億3千万円で、2年連続で県内トップ。シャインマスカットは、返礼品の中でも特に人気が高い。市は現在、ふるさと納税の募集を全面停止している。

 今回の問題を受け阿部守一知事は、「ふるさと納税制度の信頼性に関わる重大な問題だ」と指摘。県は、全市町村に対し、返礼品に不適正表示などがないか自主点検するよう要請した。

 ふるさと納税は、「返礼品は寄付額の3割以下の地場産品」などとする基準を満たす自治体だけを指定する仕組み。ルールに違反した場合、指定を取り消すことがある。

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