Windows Centralは4月24日(現地時間)、「Windows 10 deadline and tariffs drive global PC shipment growth|Windows Central」において、2025年第1四半期のPC出荷台数が増加したと伝えた。今年10月に控えたWindows 10のサポート終了とAI対応PCの台頭に加え、米国を核とした貿易戦争が影響を及ぼしたという。
PC出荷台数は前年同期比で6.7%増加も、今後は関税が足かせ
PC出荷台数の統計はCounterpoint Researchが公開したブログ記事に基づくもの。記事によると、2025年第1四半期のPC出荷台数は前年同期比で6.7%増の6,140万台で、主な要因としてはWindows 10のサポート終了を前にしたAI対応PCの採用増加と、関税を回避するための前倒しの購入が原因と考えられている(参考記事:Global PC Shipments Up 6.7% YoY in Q1 2025 Amid US Tariff Anticipation)。
この伸びは市場全体に広がったとみられ、メーカーごとのシェアの比較ではあまり変化はないとのこと。Apple、DELL、HP、Lenovoなど主要メーカーはいずれも出荷台数を4~17%伸ばしている。しかしながら、今後もこの好景気が続くとは限らないようだ。
トランプ関税はどの程度影響を及ぼすか
世界のPC製造拠点は中国に集中している。米国トランプ政権は中国に高い関税をかける方針を打ち出し、その後一部を免除するなど市場に混乱をもたらし、次の四半期には半導体やハイテク製品に新たな関税を課す方針を示している。
二転三転するトランプ関税が今後どのように推移していくのか、誰にも予想がつかず不確実性を増している。
Counterpoint Researchはその影響を受けた製造業者について「コストの高騰と潜在的な需給の縮小に直面している」と述べ、サプライチェーンの混乱、さらにはAIインフラやデバイスの需要と投資が減少する可能性を指摘している。
Counterpoint Researchのアソシエイトディレクターを務めるDavid Naranjo氏は次のように述べている。
「関税政策の不確実性は消費者や企業の新しいデバイスの追加購入の意欲を削ぎ、成長と普及率の増加を抑制する可能性が高い。長引く世界経済の不確実性も、2025年のPC市場の出荷台数(%)が前年比1桁台なかばで増加するという当社の予測に下振れするリスクをもたらすでしょう」
PC製造企業は中国からの工場移転を加速させるとの予想がある。しかしながら工場移転には相当程度の時間が必要と考えられ、それまでの期間、PCの供給は不安定になる可能性がある。