
小型スーパーの出店や価格対応型商品の強化で対応
消費者の節約志向が高まる中、消費者ニーズへの柔軟な対応ができず、イオンとセブン&アイ・ホールディングスの流通2強が減益決算となった――。
「実質賃金が伸びない中、節約志向の高まりは想定以上だった。保守的な消費者ニーズ、実体経済に対して、価格戦略や経費構造の抜本的な見直しが遅れてしまった」
こう語るのは、イオン社長の吉田昭夫氏。
イオンが2025年2月期の連結業績を発表。営業収益は10兆1348億円(前年同期比6.1%増)と、初めて10兆円の大台を突破。営業利益は2377億円(同5.2%減)、純利益は287億円(同35.6%減)と減益となり、吉田氏は消費者ニーズへの対応が遅れた反省を口にした。
もっとも、値ごろ感のあるPB(プライベートブランド、自主企画)商品『トップバリュ』の販売は好調。9年連続で売上が拡大し、24年度の売上は1兆1000億円となった。今後もしばらくはNB(ナショナルブランド)の値上げが予想されており、イオンは粗利益率の高いPBの品ぞろえを強化する。
また、首都圏で約1200店舗(24年度)を運営する小型スーパー『まいばすけっと』の出店を加速し、30年度に2500店舗まで持っていきたい考え。
「非常に各家庭のエンゲル係数が高まっている中で、価格政策をさらに推し進めていく。客数を上げることでトップラインを上げていく」(吉田氏)
ライバルのセブン&アイも営業収益11兆9727億円(同4.4%増)、営業利益4209億円(同21.2%減)、純利益1730億円(同23%減)と、増収減益。主力のコンビニエンスストア事業が日本、米国ともに伸び悩んだことが原因だ。
「日米においてインフレ、特に食料品価格の上昇により、若年層や中低所得者層を中心に消費マインドが落ち込み、厳しい経済環境が続いた」(丸山好道・常務執行役員 最高財務責任者)
セブンも昨年途中から価格対応型商品『うれしい値!』の販売を強化しており、消費者の節約志向に対応。今後も両社の試行錯誤が続く。