ラバブルマーケティンググループ社長・林雅之「SNSを活用した『愛されるマーケティング活動』 を展開する企業として成長を続けたい」

日本でのSNS黎明期に産声を上げて……

 当社は2008年に創業した「SNSマーケティング」を主力とした企業です。企業などのSNSアカウント運用支援や、マーケティング支援などを手掛けています。

 08年は「フェイスブック」や「ツイッター」(現X)がようやく日本語のインターフェースを備えた年で、まだ日本ではSNSが今のような存在感を持っていませんでした。ただ私は「SNSが今後、コミュニケーションの中心になる」と考えて起業し、企業への提案を進めました。

 そして今や、SNSがコミュニケーションの中心だということは大前提となりました。個人が発信力を持ち、「インフルエンサー」が企業に対して提案する状況も生まれています。

 市場が拡大するとともにプレーヤーも増えており、競争は厳しくなっています。その中で我々は〝老舗〟であり、実績・経験は日本で一番だと自負していますが、より強みを磨いていく必要があると考えています。

 当社の強みは、長年にわたりノウハウを蓄積した社員が運用を担当すること、そして1つのアカウントをチームで運営しているという「組織力」です。お陰様で多くの大企業から信頼をいただくことができています。

 現在、力を入れているのが海外事業です。我々が得意とするSNSマーケティングは、日本以上にSNSの影響力が強い東南アジアで力を発揮することができると考えています。

 特に今、日本は国策としてインバウンド(訪日外国人観光客)に力を入れており、2030年には訪日消費15兆円という目標を掲げていますが、我々はこの政策に貢献するべく取り組んでいます。その一歩として23年にタイのマーケティング支援会社・DTK ADを子会社化し、ここを足がかりに東南アジアでのネットワークを広げています。

 現在、当社が日本の地方自治体からの依頼を受けて、タイのインフルエンサーに、その自治体に訪れてもらい、海外の方々がご存知ない名所などを取材、発信してもらっています。

 これによって海外に日本の良さをアピールするとともに、「オーバーツーリズム」の緩和にもつながるのではないかと考えています。こうした活動をシンガポール、マレーシア、インドネシアなどでも展開できる体制を整えました。

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日本の広告市場をよりよい方向に

 海外事業とともに注力しているのがM&A(企業の合併・買収)戦略です。今、当社は「総合化」を志向し、手掛ける領域を増やすべく取り組んでいます。その1つが24年に実行したウェブ制作会社・ユニオンネットの買収です。

 今後注目しているのは、当社にない強みを持つ同業他社に仲間になってもらうことや、広告運用や制作など、デジタルマーケティングにおける重要機能を持つ企業です。また、海外企業の買収も引き続き視野に入れています。

 当社の社名は「愛されるマーケティング活動」を推進するという思いを込めています。残念ながら今は、受け手が望んでいない情報を、望んでいないタイミングで届けられるケースが多く見受けられます。

 我々は、そうしたマーケティング活動はせずに、情報を届けたいと考えています。難易度は上がりますが、その中でも効果を出し、お客様にメリットを感じていただくことで、日本の広告市場全体がよりよい方向に向かうのではないかと思います。このことは、社内にも常に訴え続けています。