日本HPは4月11日、AI機能を効率的に活用できる多彩なPC・ワークステーション新製品群を、個人向けおよび法人、プロフェッショナル向けに発表した。発売は機種によって異なり、法人向け製品は5月8日から順次提供される。

  • 注目モデルの1つ、18型の大画面を採用した「HP ZBook Fury G1i 18 inch」

  • 今回発表された新製品群

個人・法人向けにAI PCをメインストリームまで一挙拡大

NPUを内蔵しAI処理に適した「AI PC」。日本HPのAI PC新製品群が、フラッグシップモデルのみならずメインストリーム機に至るまで、個人・法人向けに“一挙拡大”した。

日本HP 執行役員 パーソナルシステムズ事業本部 事業本部長 松浦徹氏は、日本HPが13四半期連続で日本国内マーケットブランド別シェアで1位を獲得していることに触れ、AI PC新製品を個人・法人・プロフェッショナル向けの全カテゴリーで投入し「特に高性能な新ワークステーションではAIを使うだけでなく、AIを作る点でもユーザーの役に立ちたい」と紹介した。

同社のAI活用ツール「HP AI Companion」では、インターネット接続がない状態でもAIを使用できる「オンデバイスモード」を2025年夏に導入予定。同ツールはプロンプトを入力し回答を得る「検出」(Discover)、PC内ファイルなどの「分析」(Analyze)、動作を最適化する「性能」(Perform)の3要素をベースにユーザーを支援するもの。また、キーボードのストロークを記録する「キーロギング」を防止する機能、音声コマンド機能なども順次追加されるという。

  • 日本HP 執行役員 パーソナルシステムズ事業本部 事業本部長 松浦徹氏

5年間無制限で通信できる「HP eSIM Connectモデル」も

法人向けノートPC・デスクトップPCでは「HP EliteBook 8」シリーズで6機種が登場。HP EliteBook 8シリーズは同社の法人向けPCのなかでも幅広いユーザーに向けた普及モデルに位置付けられている。

日本HP パーソナルシステムズ事業本部 クライアントビジネス本部 CMIT 製品部の岡宣明部長は、これまでフラッグシップ(Elite Ultra/Xシリーズ)中心だった同社のAI PCが「ようやく標準的なPCに入っていくことになる」と話した。

  • 日本HP パーソナルシステムズ事業本部 クライアントビジネス本部 CMIT 製品部の岡宣明部長

  • 法人向けAI PCの新ラインアップ

プロセッサはIntel Core Ultra シリーズ2を中心に、AMDモデルも用意。ノートPCでは筐体をグレイシャーシルバー色でより薄型となるデザインへ刷新した。KDDIの通信回線サービスを組み込み、5年間のLTE通信無制限利用権が付いた「HP eSIM Connectモデル」も用意する。

ペン付きコンバーチブルPC(EliteBook 8 Flip G1i 13)は、ペンを従来のマグネット接着から本体へ挿し込む方法へ変更し、紛失を防ぐよう改善。またバッテリーやキーボードなど、壊れやすいパーツをユーザーが交換できるようにするプログラムを今後展開する予定とした。

このほか、のぞき見防止機能「HP Sure View」は機能をアップデートし、Webカメラで背後に人がいることを検知すると自動で画面にフィルター効果がかかるようになった(従来はユーザーがボタンを押して起動)。

  • HP EliteBook 8 G1i 14

  • HP EliteBook 8 G1i 13

  • HP EliteBook 8 Flip G1i 13

  • HP EliteDesk 8 Mini G1a Desktop Next Gen AI PC

AI開発にも使える18型画面のワークステーションに注目

プロフェッショナル向けのワークステーション群にも注目したい。新たなワークステーション群は、フラッグシップのモバイル型“Fury”からタワー型デスクトップ型まで8機種10モデルのバリエーションをそろえた。日本HPの法人・プロ向けPCは個人でも購入でき、担当者は「幅広く個性的な製品を提供することでユーザーが必要とする多彩な用途に役立てれば」と紹介した。

日本HPのワークステーションはフラッグシップ(ZBook Furyシリーズ)、ハイエンド(ZBook Ultraシリーズ)、メインストリーム(ZBook Xシリーズ)、エントリー(ZBook 8シリーズ)というクラス分けがなされている。

新製品の中でもモバイルタイプながらデスクトップPCに匹敵する性能を備えた18型の「HP ZBook Fury G1i 18 inch」は、同社パーソナルシステムズ事業本部 アドバンスコンピュート&ソリューションビジネス本部 杉浦慶太本部長のイチ押し製品。

  • 日本HP パーソナルシステムズ事業本部 アドバンスコンピュート&ソリューションビジネス本部 杉浦慶太本部長。「HP ZBook Fury G1i 18 inch」を手に持ってアピール

  • ワークステーションの新ラインアップ。“New”が付いている製品は8モデルだが、「ZBook 8」シリーズがIntelプロセッサ/AMDプロセッサの2モデルを揃えており、これを2モデルとカウントし計10モデルとしている

ZBook Furyシリーズのモバイルタイプは従来16インチまでだったが、HP ZBook Fury G1i 18 inchは初めて18インチの大画面を搭載し、システム熱設計電力(TDP)200Wに対応する持ち運び可能な超高性能ワークステーションだ。Core Ultra HXプロセッサやRTX PRO Blackwellグラフィックスを搭載可能で、メモリは最大128GB、M.2 SSDは最大4基を載せられユーザーが簡単に増設交換できる構造になっている。

搭載ファンは静音を重視し、プリインストールOSとして従来のWindows 11 Proに加え新たにUbuntu 24.04 LTSを選択肢に追加した。重さは約3.5kgだが、社内での持ち運びに加え、移動できない大型機器の近くへ持ち運んでAI開発の調整をするといった用途にも対応する。

またデスクトップタイプのうち、省スペース型の「HP Z2 SFF G1i Workstation」は筐体が従来から20%小型化し、標準的なタワー型の3分の1の体積を実現。専用のマウントキットを用いればラックマウント(7Uのスペースに4台を搭載)も可能で、小型化により一般的な42Uのラック1本に24台集積可能となった。

  • HP ZBook Fury G1i 18 inch

  • キーボード面も巨大。クリックボタンは3つ搭載する

  • HP ZBook Fury G1i 18 inchの内部構造。3基のファンでシステム熱設計電力(TDP)200Wに対応する

  • 省スペース型の「HP Z2 SFF G1i Workstation」は従来から20%小型化

  • ミニ筐体の「HP Z2 Mini G1i Workstation」

  • 背面から上部まで豊富なインタフェースを搭載

  • 密度の高い内部構造が目を引く

日本HPの法人向け新PC・ワークステーションまとめ

最後に今回発表された日本HPの法人向け新PC・ワークステーションの価格、発売日を一覧でまとめる。

法人向けノートPC

  • HP EliteBook 8 Flip G1i 13:価格373,780円~ 5月下旬発売
  • HP EliteBook 8 G1i 13:価格329,780円~ 5月8日発売
  • HP EliteBook 8 G1a 13:価格未定 5月下旬発売
  • HP EliteBook 8 G1i 14:価格384,780円~ 5月8日発売
  • HP EliteBook 8 G1i 16:価格363,000円~ 5月8日発売

法人向けデスクトップPC

  • HP EliteDesk 8 Mini G1a Desktop Next Gen AI PC:価格未定 7月中旬

モバイルワークステーション

  • HP ZBook Fury G1i 18 inch:価格728,200円~ 6月下旬発売
  • HP ZBook Fury G1i 16 inch:価格597,300円~ 6月下旬発売
  • HP ZBook X G1i 16 inch:価格404,800円~ 6月下旬発売
  • HP ZBook 8 G1i 16 inch:価格220,000円~ 5月上旬発売
  • HP ZBook 8 G1i 14 inch:価格217,800円~ 5月上旬発売
  • HP ZBook 8 G1a 14 inch:価格204,600円~ 5月中旬発売

デスクトップワークステーション

  • HP Z2 SFF G1i Workstation:価格192,500円~ 6月上旬
  • HP Z2 Tower G1i Workstation:価格218,900円~ 7月上旬
  • HP Z2 Mini G1i Workstation:価格242,000円~ 5月中旬
  • HP Z1 Tower G1i:価格179,300円~ 7月中旬