台湾MediaTekは現地時間4月10日、スマートフォン向けフラッグシップSoC「Dimensity 9400+」を発表。生成AIやエージェントAI機能などのパフォーマンスを向上させ、Bluetoothによるスマホ同士の直接接続距離を最大10kmまで延ばすなど通信面も強化している。同チップ搭載の最初のスマートフォンは4月に発売されるという。
最大3.73GHzで動作するArm Cortex-X925コア、3x Cortex-X4、4x Cortex-A720プロセッサと大規模なチップ内キャッシュを組み合わせて、シングルスレッドとマルチスレッドのパフォーマンスを強化したオタクコアSoC(System on a Chip)。高いAndroid UXエクスペリエンスや、比類のないゲームとアプリ機能を実現するとしている。
AI処理を担うエンジン「NPU 890」を備え、最新の大型言語モデル(LLM)をサポート。「Speculative Decoding+」(SpD+)と呼称する技術を採用したことで、エージェントAIパフォーマンスが20%高速化し、コンテンツの理解や、アプリ間の推論、マルチモーダルAIの効率が向上するとしている。DeepSeek-R1-Distillの1.5B/7B/8Bモデルのサポートと、オンデバイス処理にも対応する。
モバイルゲームを楽しめるよう、12コアのArm Immortalis-G925 GPUを統合し、デスクトップPC級のレイトレーシング機能「Opacity Micromaps」(OMM)も搭載。これにより、ゲーム内の草木や人物の髪の毛、鳥などの羽毛といった複雑なマテリアルをリアルに描写できるようにした。
さらに、ゲーム開発者と連携して開発したという新機能「フレームレートコンバーター2.0+」(MFRC 2.0+)を盛り込んだことで、一部のゲームタイトルではフレームレート(fps)を2倍に引き上げるとともに、電力効率を最大40%向上させられるとしている。
カメラ関連機能も強化しており、スムーズなズーム切り替えと持続的なターゲットAFを備えたフルレンジHDRズームや、“極端なズームでもクリアな写真が撮れる”という生成AI望遠機能、最大6マイク/24bitオーディオのAIオーディオフォーカスなどを装備。対応するカメラセンサーの画素数は最大3億2,000万画素、動画撮影の解像度は8K/60fps(7,690×4,320)。ディスプレイはWQHD+/180Hzで、三つ折りスマートフォンに電力供給できる仕様にもなっているとのこと。
通信関連への追加機能としては、Bluetoothによるスマホ同士の直接接続距離を最長10kmまで引き上げたのが大きな特徴(従来のDimensity 9400の6.6倍)。Bluetooth 6.0に準拠する。ほかにも5つのストリームを備えたWi-Fi 7(a/b/g/n/ac/ax/be)トライバンド対応と最大30mのWi-Fiカバレッジ、5G/4GのDSDA(デュアルSIMデュアルアクティブ)サポート、北斗衛星測位システム(BeiDou)への対応などを盛り込んだ。このほか、メモリタイプと周波数はLPDDR5X-10667、ストレージはUFS 4+MCQをサポートする。