
答えのない時代、どんな解決策を導くか─。30~40年前の人口が増加し、企業のビジネスモデルもトップダウンで成長できた時代から、近年は人口減少の局面を迎え、変化が激しい中でどう成長を図るかを考える時代に移り変わりました。
今の企業には、いかに自社の理念やビジョンに共感し、共有する目標に向かって自発的に動ける社員がいるかどうかが問われています。同時に、企業で働く社員、1人ひとりのモチベーションの在り方も変わってきているのではないでしょうか。
米国の作家であるダニエル・ピンク氏が以前に提唱した「モチベーション3.0」が最近になって日本でも再び注目されています。「1.0」は生きるために働く。「2.0」は給料を増やすために働く。そして「3.0」は自らの目的を実現するために働く。3.0はまさに今のZ世代に刺さる言葉でしょう。
私はさらにこの先にある「モチベーション3.5」とも呼べる人材を「自律型人材」と名付け、その定義を自ら考えて行動できる人材としています。それはある意味では、企業にとっては選ばれる側に回ることになり、働く個人が自らの人生やキャリアを考えることは、成熟時代を迎えた日本の成長に欠かすことができないのです。
いま、日本の雇用形態は企業の人事が社員のキャリアパスを決定するメンバーシップ型雇用から、社員自身が自発的にキャリアパスを描いていくジョブ型雇用への転換点にあります。その意味では、今までのキャリアを棚卸することや、経営を学ぶこと、新しいスキルを学ぶことが求められるようになります。
しかし、今の日本では、社会人になってからキャリアを見直す機会はあまりない。ならば、当社が個人の人生に寄り添ったキャリアを考える場所を提供しようと考え、昨年8月から始めたのが「パソナビキャリア大学校(商標登録済み)」という社会人向けのキャリアの学校です。
この学校には3つの特徴があります。1つ目はキャリア教育に特化していること。2つ目は受講生を20~30代の社会人に限定していること。3つ目は決して転職を目的にしないことです。特に3つ目は大切で、通常のキャリア教育系のサービスだと、転職を目的とする傾向にあり、転職を急ぎ成約した場合、どうしてもミスマッチが起こる確率も高まります。これは紹介された会社にとっても、転職者にとっても不幸なことです。ある統計によれば、転職が1回増えると、採用率が20%落ちるといったデータもあるほどです。
一方、この大学校の講義では、私が先ほど申し上げたようなモチベーション3.5の理論を研究して導き出した、考え抜く力を表した「TQ力(商標登録済み)」などを中心にキャリア心理学と行動心理学を学んでいただきます。
TQ力Ⓡとはロジカル、クリエイティブ、クリティカルの3つの思考力を学ぶことによって、自己の考えを深め、問題解決能力を高めることができると共に、これらを意識することで「自ら考え抜く力」を身につけることができるものになります。
私自身、当社を起業する前、販売代理業の会社がうまくいかず、約6000万円もの負債を抱えて途方に暮れたことがありました。それでも様々な事業の立ち上げや営業代行をしながら負債を完済することができ、人生を変えることができました。
若い人には、「成功したら経歴、失敗したら経験」と捉え、今から様々なことに自信を持ってチャレンジして欲しいと思います。