Omnissa Japanは4月7日、CEO(最高経営責任者)シャンカー・アイヤー氏による記者説明会を開催した。同社は米国Broadcom、旧VMware エンドユーザーコンピューティング(EUC)部門から独立し、HorizonやWorkspace ONEといったEUC製品を提供している。

同氏が日本のメディアの前で話をするのは2回目となる。前回は、2024年9月に東京で開催したフラッグシップイベント「Omnissa ONE」で、日本における事業展開を説明した。

それから7カ月強を経た今、アイヤー氏は同社の事業の現状、独立後の製品戦略、パートナー戦略について語った。

  • 米Omnissa CEO(最高経営責任者)シャンカー・アイヤー氏

第2位の売上を上げている日本は重要な市場

アイヤー氏は同社の最新情報として、昨年のOmnissa ONEで示した「Go-to-market」「イノベーションのエコシステム」「円滑なビジネスの支援」という3つの投資分野への取り組みを進展させていると述べた。

「Go-to-marketはインフラを使ってスケールしていく。イノベーションは投資によって急速にロードマップを拡大しているほか、テクノロジーのエコシステムとしてCrowdStrikeと戦略提携を行った。他社と仕事をしやすいように取り組んできた」(アイヤー氏)

アイヤー氏は、同社の市場における差別化のポイントとして、エンドユーザーコンピューティング(EUC)関連のソリューションを一社で提供できることを挙げた。「われわれは最大のデジタルワークスペースをプラットフォームで提供する」(同氏)

旧VMwareは2022年に新しい従業員体験(Employee Experience)を提供するデジタルワークスペースを発表したが、同製品の特徴である自律化も実現してきたという。

また、アイヤー氏は日本が同社で第2位の売上を計上していることからも、「重要な市場と考えている」と話した。パートナーも300社、顧客数も1500以上の規模とのことだ。

Mware時代の課題を解消した新パートナープログラム

続いて、シニアバイスプレジデント マーケティング担当レヌ・ウパディヤイ氏が今年の3月24日に開始したOmnissa パートナープログラムについて説明した。同氏は「デジタルワークスペースに100%フォーカスし、そのチャンスを生かすためにパートナープログラムを強化している」と語った。

  • 米Omnissa シニアバイスプレジデント マーケティング担当レヌ・ウパディヤイ氏

新パートナープログラムは、パートナーレベルとビジネスモデルを定め、インセンティブと特典、ポイントベースの報酬システム、トレーニングと認定資格、ダッシュボードを提供する。

ウパディヤイ氏は、新たなパートナープログラムについて、「設計思想は、シンプル、かつ、デジタルワークスペースのチャンスにフォーカスすることに絞っている」と述べた。

同ウパディヤイ氏はVMware時代のパートナープログラムが抱えていた課題について、「デルワークスペースへのフォーカス、顧客のニーズへの対応、パートナーのエコシステムとのつながりなど長年にわたり欠いていた」と指摘し、新パートナープログラムではこれらの課題を解消した格好だ。

従来のパートナープログラムから、パートナーモデルとパートナーレベルをシンプルにしたと説明した。前者は、ソリューションごとにリセラーモデルを作るなど、パートナーが容易にアクセスできるように変更したという。

一方、パートナーレベルはプラチナ、ゴールド、シルバーの3つのレベルに簡略化され、これにより「理解しやすくなっている」とウパディヤイ氏。加えて、ターゲットを絞ったプログラムを提供するなど、パートナーが自律的に成功を収められるよう工夫されているという。同氏は「新しいパートナープログラムで最新のロードマップに適した知識をつけてもらいたい」と語った。

2026年後半に提供予定のダッシュボードにより、パートナーはプログラムのパフォーマンスに関する情報、Omnissaビジネス全体における進捗状況を把握できる。

  • Omnissaの新パートナープログラムの概要

4つのAを柱としてAI戦略とは

AIベースのデジタルワークプラットフォームの最新情報については、アイヤー氏が説明した。同社はOmnissaプラットフォーム上で、ソリューションとして「仮想デスクトップとアプリ」「統合エンドポイント管理(UEM)」「セキュリティとコンプライアンス」「デジタル従業員体験(DEX)を提供する。また、共通サービスとして「データ」「ワークフロー」「AI&ML(機械学習)」「アイデンティティ」「運用管理」を提供する。

  • Omnissaのデジタルワークプラットフォームの構成

前述したように、同社はデジタルワークスペースのためのプラットフォームを提供していることをウリとしている。アイヤー氏はプラットフォームが顧客にもメリットを与えるとして、必要とされる理由を3点挙げた。

1つ目の理由は管理だ。プラットフォームにより、顧客のポリシーに基づき、管理を統合し、コストを抑えることができるという。2つ目の理由はセキュリティだ。アイヤー氏は「CrowdStrikeやSentinelOneと提携するなどして、セキュリティおよびコンプライアンスの望ましい状況を作り出している」と述べた。3つ目の理由は従業員体験だ。「組織として整合性のある従業員体験を提供することが重要であり、シングルプラットフォームだからそれが可能」と同氏は語っていた。

アイヤー氏はAI戦略についても説明を行った。同社のAI戦略は、「Alert」「Assist」「Advise」「Autonomous」と4つのAを柱としている。Alertを具現化する製品として、「インサイトとガイド付きRCA(根本原因分析)」は一般提供が開始されている。残り3つの製品は計画中とのことだ。

  • OmnissaのAI戦略