
政府備蓄米の初回と2回目の入札が終わり、一部の店舗で販売が始まった。表示義務はなく、一見して備蓄米とはわからないが、あるスーパーでは、コシヒカリやあきたこまちといったブランド米に比べて1千円ほど安いケースもあるようだ。しかし、備蓄米が店頭に並ぶ前の米価は昨年の2倍程度に高騰しており、農林水産省は一刻も早い価格の安定に向けて追加放出も検討する。
江藤拓農水相は3月28日の記者会見で、「安いものでは3千円から店頭に並び始めた。値頃感はある。(流通の)目詰まりが解消され、価格が落ち着くことを期待している」と述べた。政府備蓄米は100万㌧を目安とし、毎年約20万㌧を入れ替えている。例年1月下旬以降、複数回にわたり生産者から買い入れているが、2025年産の買い入れは当面延期する方針だ。
農水省が3月10~12日に実施した備蓄米の入札で、15万579㌧のうち14万1796㌧(94・2%)が落札された。政府は落札されなかった分と合わせて7万㌧を2回目の入札で放出する。
初回の入札で大半を落札した全国農業協同組合連合会(JA全農)は、政府備蓄米の販売に際して「備蓄米」と表記しないよう取引先に求めているという。安値の備蓄米が取り合いになるのを避けるためで、また、備蓄米の販売でもうけているとみられないように、落札金額に必要経費だけを加えた額で販売するよう求めている。
農水省がまとめた3月10~16日のスーパーでのコメ販売価格(税込み)は5㌔㌘で4172円と、前年同期に比べて約2倍に跳ね上がった。11週連続の値上がりで、前週に続いて4千円を超えた。
備蓄米の放出が本格化すれば、4月上旬にもコメの値下がりが期待できると予測する有識者もいる。ただ、一向に収まらない米価の高騰で消費者のコメ離れも懸念されている。放出の効果が表れるのはこれからだ。