マクドナルドが値上げと同時に「500円セット」を復活

 日本マクドナルドが3月12日から単品メニューを中心に10~30円値上げした。同社は24年度実績で前年比から売上高は6.6%増、客数は2.4%増、客単価2.5%増となり、過去最高益を記録していた。

 しかし、今年に入り、1月と2月を見ると、2月は客数、客単価ともにプラスとなったものの、前年同月比では伸びが鈍かった。2月の売上高は2.2%増、客数は0.6%増、客単価は0.2%増であった。

 現在、止まらない物価高で国民の家計は苦しい。総務省が発表し20年を基準とした24年消費者物価指数は、前年同期比で3%上昇しており、特にコメを筆頭に食料品の高騰が家計を圧迫している。

 一方で、実質賃金は依然上がらないままだ。厚生労働省が出した24年12月の毎月勤労統計調査の速報によれば、24年通年の実質賃金はマイナス0.2%と3年連続でマイナス。3%増の物価高に全く追い付いていないのが現実。そういった環境下で、自炊よりも高くつく外食は自然と足が遠のく。

 ファストフード首位のマクドナルドはこうした環境下、原料高分の価格転嫁を行う。値上げと同時に販促強化にも乗り出し、ハンバーガー、ポテト、ドリンクのセットの500円メニューが復活する。各単品で頼んだ時と比べ、210円安価となり、大幅に値引きされる。また、年間を通して「トクニナルド」と題したキャンペーンをうち、毎日日替わりで商品が100円となるクーポンを配布する。

 既に米国マクドナルドでは、インフレ経済下での販促施策として、昨年、同様に昨年5ドルセット(日本円で約744円、25年3月17日レート)を開始し、顧客の心を掴んでいる。

 日本国内での同業他社を見ると、モスバーガーは一番安価な平日昼セットメニューが860円、フレッシュネスバーガーでは1080円程度と、今回マクドナルドが打ち出す500円セットとは大きな価格差が生じることになる。

 節約志向が続く中、お得なメニューで顧客を惹きつけられるか。原料分を転嫁しながら客数とのバランスをどう図っていくか、外食業界個社ごとのそれぞれの工夫が続く。