ソフトバンクは、生成AIを活用して問題の作成から採点までを自動化するソリューション「先生AIアシストLab」を3月31日に提供開始。小中学校の教員などの業務負担軽減を目的に開発した教育現場向けソリューションで、特別なITスキルなしで簡単に利用できるという。

  • 「先生AIアシストLab」の概要

Google CloudのAIプラットフォーム「Vertex AI」の「Gemini」モデルを活用しており、データの分類や分析を主とする従来のAI(人工知能)が行ってきたデータ分析やパターン認識とは異なり、生成AIによって多彩な問題や解答などを作成できるとしている。

主な特長は以下の通り。

問題・解答を自動作成

Geminiモデルを活用するため、参考書や授業で使用する資料の画像やPDFをアップロードするだけで、多彩なテスト問題や演習問題を自動生成。プロンプトを入力する必要はなく、プルダウンやボタン選択で問題数や問題形式(4択、記述式、穴埋めなど)を指定するだけで、問題と解答、設問ごとの解説も自動生成する。

生成した問題や解説を、教員が目視で確認し、手入力で編集したり問題の再生成をさせたりすることもでき、ハルシネーション(誤情報の生成)などを防げる仕組みとした。

テスト形式として簡単に表示・出力

作成した問題をテストや演習問題などの形式で、ウェブ上で簡単に表示・出力可能。解答用の画面を紙に印刷せず、生徒にURLを送付することで、テストや演習問題としてすぐに利用できるという。レイアウトもシンプルでわかりやすくした。

自動採点機能は記述式の問題にも対応

生徒の解答に対して、ボタンを押すだけで自動で採点できるという。従来の機械的な採点では、生徒による答案と解答が完全に一致していなければ正解と認識されないため、記述式の問題採点は難しかったが、生成AIによって記述式問題の採点にも対応。採点にかかる業務負荷の軽減につなげる。

たとえば「ひらがな表記でも正解」、「意味が正しければ正解」、「特定のキーワードが入っていれば部分点を付与」といった条件をつけた柔軟な採点が行えるという。

教育現場では、教員らが業務に追われて多忙になっており、教育の質を向上させるために割ける時間の確保が難しい状況だという。文部科学省はすでに、働き方改革の一環として生成AIを利活用することなどを目的とした暫定的なガイドラインを発表し、活用方針を示しているが、教育現場における生成AIの活用は1.2%に留まっているとのこと(目標は2025年度までに50%)。

特に生成AIの導入に関しては、有効な活用方法やプロンプトの入力の難しさ、既存システムとの連携にかかるコストや手間、情報の取り扱いなどセキュリティに関する懸念などが課題となっている。

ソフトバンクはこのような背景から先生AIアシストLabの開発に取り組み、協力を得た教員らから、問題の作成や採点に関する業務負荷に関する意見を聞くなど、現場目線で役立つソリューションになるよう注力したとアピールしている。

今後、同社は教育現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)や、学校の教員などの働き方改革の推進に向けて、先生AIアシストLabの提供と機能拡張を推進。生成AI技術を活用した教育現場向けの新たなソリューションを提案することで、教育の効率化と質の向上をめざす。