日本IBMは4月1日、東京ビッグサイト(東京都江東区)で「New IBMers Kickoff 2025」と題して入社式を行った。本稿では、その模様をお伝えする。

  • 新入社員の集合写真

    新入社員の集合写真

山口社長は新入社員に何を伝えたのか?

同社の入社式は2019年以来、6年ぶりに対面形式で実施。テーマは「Set Sail! 高鳴る鼓動を風に乗せ未知なる海へ」だ。新入社員778人それぞれの夢やパーパスを実現する新たな航海の始まりを表現。会場には同社のエグゼクティブも出席し、ライブ配信を通してIBMの先輩社員や新入社員の家族などが見守った。

  • 会場内には新入社員同士でチェキで撮影し、張り付けるボードが用意されていた

    会場内には新入社員同士でチェキで撮影し、張り付けるボードが用意されていた

まず、日本IBM 代表取締役社長執行役員の山口明夫氏が新入社員へのメッセージを伝えるために登壇。同氏は「IBMの社員が何を考えているのか共有します。現在、テクノロジーの進化は人類が経験したことのないスピードで加速しており、解決できない問題や、新しいことを実現できる可能性を実感する時代にいます。将来的に大きく変化した時代と位置付けられるでしょう」と述べた。

  • 日本IBM 代表取締役社長執行役員の山口明夫氏

    日本IBM 代表取締役社長執行役員の山口明夫氏

そのような時代のソリューションとして、山口氏は昨年2月に発表したAIを活用した難病情報照会アプリケーションを紹介しつつ「世の中にはさまざまな社会課題がある一方、そうした課題に対してテクノロジーを活用したシステムを構築しています。なぜ、皆さんはIBMグループに入社したのでしょうか?それは少しでも世界、日本のお客さまが今よりも素晴らしい幸せな生活・社会が訪れるように努力するためです」と力を込める。

そして、同氏は「IBMのパーパスは『世界をより良く変えていくカタリスト(触媒)になる』です。われわれは常に今日よりも明日、明日よりも明後日、どうすれば世の中、お客さまに貢献できるのかを考え続けています。そのため、本日ここに778人の方が集まったことは心強く、うれしく思います」と話す。

山口氏は「答えがないものに果敢に挑戦し、解決策を自分たちで作り上げる人になってほしいですし、社会の課題など明るい未来に向けて何をしなければならないのか、あるべき姿を追い続けてほしいです。私たちが存在する意義、日本IBMが存在する意義は少しでも人の役に立つことです。そのために、仲間と一緒に働いてください。今後、社内で“Think”というキーワードを多く目にすると思いますが、さまざまなことを考えることでステップアップし、楽しく前向きに挑戦してください」と強調していた。

  • 山口氏の話を聞き入る新入社員

    山口氏の話を聞き入る新入社員

新入社員の決意表明

山口氏の登壇後は、同氏と先輩社員5人が新入社員の質問に答えるコーナーに移った。「新入社員に戻りたいと思いますか?」の質問に対して、先輩社員たちは軒並み「No」と回答。キャリアを積み重ねた今が一番楽しいという理由や、これまで積み上げてきたものをこれから活かしていくという段階のためといった理由があったが、現在のテクノロジーの状態であれば興味があるという声もあった。

  • 先輩社員との一問一答

    先輩社員との一問一答

また「リモートや出社など多様な働き方ある中で、どのような働き方が好きですか?」 との問いには職種やプロジェクトの状況などで出社の割合は異なるものの、それぞれの状況に合わせて柔軟に働いてもらいたいと答えていた。

次に、新入社員5人による決意表明を行った。日本IBM コンサルティング事業本部に配属の伊藤樹さんは「私のパーパスは技術力を伴ったプロジェクトマネージャーになることです。これを実現するために多くの業務に参画し、実際の業務や学びの機会を通して日々成長していきたいと考えています。テクノロジーと社会をつなぐ存在となり、社会を安全、便利、自由にしていければと感じています」と述べた。

また、同社 テクノロジー事業本部配属の野崎朱真さんは「IBMの技術を生かし、お客さまや社会の課題を解決することで、より良い未来を作りたいと思い、志望しました。特にAIを活用できるユースケースを見つけ、業務の効率化や価値体験の向上に貢献したいと考えており、技術が生み出す新たな価値が社会全体の発展や、より良い未来につながると信じ、日々の仕事に励みます」と決意をにじませていた。

  • 新入社員5人による決意表明

    新入社員5人による決意表明

続いて、IBMのAIと会話するセッションに移り、山口氏の過去のスピーチと新入社員のアンケート結果の情報を学習させた「ICA Assistants」を用いた。ICA AssistantsはAI&データプラットフォーム「IBM watsonx」で構築した会話型インタフェースと独自IPにもとづいてトレーニングされたアシスタントで、IBMerの日常の仕事で生成AIの力を安全に活用できるように設計されている。搭載可能なAIモデルは複数あるが、当日は日本語が得意な言語モデル「Mistral Large」を使用した。

  • 「ICA Assistants」の概要

    「ICA Assistants」の概要

同セッションでは新入社員が近くに座る人と3~6人のチームを組み、複数のテーマについてディスカッションし、生成AIの回答と比べた。最初の質問は「2035年にIBMはどのようなソリューションを提供していますか?」というもの。

ICA Assistantsの回答は「2035年にIBMは、AIを活用した医療診断支援システムを提供しています。このシステムは患者のデータを分析し、医師に最適な治療法を提案することで医療の質を向上させます」だ。類似した回答を導き出したチームもあれば、都市のモビリティに関して問題を解決するソリューションや災害予測にまつわるソリューションを提供しているといった回答もあった。

最後に感想を尋ねられた山口氏は「自身の得意なものを自覚するとともに、改善点から学び、成長すれば良いと思います。他人と比較する必要はまったくありません。今日の自分より明日どれだけ成長できるのかを常に考えて、お客さま、仲間、家族に感謝を持ち、仕事に取り組めば、やりがいがあり楽しい仕事が実現できることは間違いないです。これから一緒に頑張っていきましょう」と結んでいた。

  • 入社式の様子は新卒2年目の社員がグラフィックレコーダーでまとめていた

    入社式の様子は新卒2年目の社員がグラフィックレコーダーでまとめていた