デル・テクノロジーズ(以下、デル)は1月に、AI PCポートフォリオについてのブランド刷新を発表。その際、法人向けノートPC「Dell Pro 13 / 14 Premium」および「Dell Pro 14 / 16 Plus」についても披露した。
同社は3月31日、「Dell Pro」「Dell Pro Plus」、および「Dell Pro Max」の各シリーズで法人向けのPCの販売開始を発表し、記者向けに説明会を開いた。
シンプル化したデルの新ポートフォリオ
まずは、同社の新ポートフォリオを簡単に振り返りたい。おおむね既報の通りではあるが、同社は「Inspiron」「XPS」「Latitude」といった既存ブランドを刷新し、「Dell」「Dell Pro」「Dell Pro Max」へと統一した。なお、既存のシリーズ名で販売を開始している製品はこれまで通りのネーミングで販売を継続する。
「Dell」シリーズはコンシューマーや学生、零細・中小企業向けの製品を展開する。法人向けに該当するのは、管理されたIT環境下での使用を想定したプロフェッショナル向けの「Dell Pro」シリーズと、ワークステーションなどより高い性能を求めるユーザー向けの最上位版の「Dell Pro Max」シリーズ。
また、各シリーズについて、基本的なパフォーマンス発揮する「Base」、幅広いオプションと高い拡張性を備える「Plus」、最高級のモビリティと先進的なデザイン性を持つ「Premium」の階層で製品を打ち出す。ちなみに同社はこの階層をTierと表現している。
Dell ProおよびDell Pro Plusシリーズからビジネス向けPCを発表
同社は法人向けのメインストリームに位置付ける「Dell Pro Plusノート」「Dell Proノート」と、「Dell Pro Plusデスクトップ」「Dell Proデスクトップ」をそれぞれ発表した。
Dell ProノートPCポートフォリオ
「Dell Pro Plusノート」はアルミニウム製13、14、16インチノートPC、または13、14インチの2-in-1で製品を展開する。「Dell Proノート」は14、16インチを展開。非AI PCモデルからCopilot+PCまで広くラインアップ。プロセッサはインテル Core Ultraプロセッサー UシリーズとAMD Ryzen、Ryzen AIプロセッサーシリーズから選択可能。「Dell Proノート」のみCPUに応じてソリッドマグネタイトまたはシルバーの2色から筐体カラーを選択できる。
「Dell Pro Plusノート」では、同社が"シリコンダイバーシティ"と呼ぶように、Intel、AMD、Qualcommからプロセッサを選択可能だ。なお、Qualcomm搭載モデルは2024年5月に発表した製品を継続して販売する。Lunar LakeおよびArrow Lakeを搭載したモデルは前世代版と比較して約20~30%稼働時間を延長している。ネジ式のモジュラー型USB-Cポートに対応し、修理時のダウンタイム短縮も図っている。
Dell ProデスクトップPCポートフォリオ
「Dell Proデスクトップ」シリーズでは、タワー、スリム、マイクロ、オールインワンの4種の筐体について、それぞれ「Base」および「Plus」Tierの製品を販売する。同シリーズのIntel製プロセッサ搭載モデルは2027年6月までの約2年間の製品販売を予定しているという。
前モデルと比較した特長的な変更点として、増設ポートへの対応が挙げられる。タワー、スリム、マイクロは70pinコネクタがマザーボードに設計され、TBT4(40 Gbps)+USB-C 3.2 Gen 2(10Gbps)、USB-C(DP Alt mode)、HDMI 2.1、DisplayPort 2.1、5GbE LAN NIC、USB-A 3.2 Gen 2(10 Gbps)x2、VGA、シリアルポート、PS/2 シリアルポート、5GbE光ファイバー)から選択可能となった。コネクタで直接マザーボードと接続するためケーブルが不要となり、PCIeスロットを使用せずに拡張可能だ。
Dell Pro MaxシリーズのノートPCおよびデスクトップPCから5製品を発表
同社は「Dell Pro Max」シリーズについて、「Dell Pro Max 16 ノート PC」「Dell Pro Max 14 ノート PC」および「Dell Pro Max Tower T2 デスクトップPC」「Dell Pro Max Slim デスクトップ PC」「Dell Pro Max Micro デスクトップ PC」の発売開始も発表した。
デスクトップ版の主な変更点として、Intel Core Ultra 9Kシリーズ(125W)がTower T2だけでなくSlimでも利用可能となった。また、Tower T2はターボ継続時間が無制限となったほか、最大600ワットのプロ用グラフィックカードNVIDIA RTX 6000クラスのBlackwell世代をサポートする。
ノートブック版はIntel Core Ultra H シリーズ2を搭載することに加え、Dell Pro Plusノートと同様にモジュール型USB-Cポートを採用した。Dell Pro Max 14/16の両モデルは今夏をめどにNVIDIA GPUに対応予定とのことだ。「Dell Pro Max Plus」「Dell Pro Max Premium」も同様に今夏NVIDIA GPUに対応予定。
クライアント製品のブランドマーケティングを担当する佐々木邦彦氏は、「2024年はNPU(Neural network Processing Unit)搭載製品の出荷が増加するなど、まさにAI PC元年と言える年になった。クラウドベースのAIは他のWindowsデバイスでも利用可能だが、Copilot+PCの真の価値はオンデバイスのAI利用にある。AIのパワーが必要な作業はクラウド上で行い、クラウドに出せないセキュリティやプライバシーに配慮すべきデータはローカルで処理するなど、AIの使い分けが今後広がるだろう。当社は今後もオンデバイスのAI対応を粛々と進めていく」と説明した。
デル製品の利用をサポートする新サービスも拡充
デルは新製品の発表に加えて、業務に適したPCの発見をサポートするWebサイトの開設と、Copilot+PCの効果的な利用による生産性向上をサポートする新サービスをそれぞれ発表した。
Dell Technologies PC 製品診断
「Dell Technologies PC 製品診断」はWebサイト上で最大4つの質問に回答するだけで、約30秒で業務内容に適したPCを紹介する新サービス。ユーザーは購入を検討しているPCの形態や使用用途、働き方のスタイルなどを回答することで、その内容に適したPCが提案される。
「Microsoft 365 Copilot アドバイザリーサービス」および「ワークフォースペルソナアセスメントサービス for Microsoft 365 & Copilot」
「Microsoft 365 Copilot アドバイザリーサービス」はMicrosoft 365 Copilotの機能に関する認知の向上から、ペルソナの識別によるベストプラクティスの提供、導入計画のアドバイスまでを実施するアドバイザリーサービス。AI PCの選定から業務での効果的なAI利用などを支援する。
AIの知識に不安を感じるユーザーから、具体的なAI PC導入を検討する段階のユーザーまで、広く対応可能だという。約1カ月間のアドバイザリーと簡易ロードマップの作成、調査報告レポートを含めて150万円~。
「ワークフォースペルソナアセスメントサービス for Microsoft 365 & Copilot」はユースケースや優先する機能、想定される導入効果を整理し、それに適したPCデバイスやライセンス、AI活用方法の明確化によってAI利用をサポートするサービス。Microsoft 365 Copilotを利用する際の優先順位や必要なアクション、費用対効果を可視化する。約2カ月間のアセスメントと調査レポート、ペルソナに応じたCopilot利活用支援を含めて500万円~。