デル・テクノロジーズ(以下、デル)は11月6日、法人向けに提供するクライアントPCや周辺機器を体験できる施設「Client Solution & AI Lab」を大手町本社(東京都 千代田区)内に開設した。同施設は9月に開設した「AI Innovation Lab」を補完する位置付けであり、ユーザーの効果的なIT投資を支援する。

あと3年で約8割がAI PCに

Client Solution & AI Labの開設に際し、デルは記者向けに説明会を開いた。説明会では、まずクライアント製品のマーケティングを担当する白木智幸氏がAI PCに関する動向を紹介した。

  • デル・テクノロジーズ マーケティング統括本部 クライアント製品ブランドマーケティングコンサルタント 白木智幸氏

    デル・テクノロジーズ マーケティング統括本部 クライアント製品ブランドマーケティングコンサルタント 白木智幸氏

IDCの調査によると、世界でAIの利用が進むと同時にAI PCの検討も進められており、2027年までに全PCのうち80%以上がAI PCになると予想されているという。

また、4人のうち3人がすでに業務の中でAIを活用しているとする調査結果もある。そのうち78%は自らが用意したAIツールを使用する、いわゆるBYOAI(Bring Your Own AI)としてAIを活用しているとのことだ。

デルの調査結果では、Z世代(18歳~28歳)の学生のうち約2人に1人が生成AIを活用していることが明らかになっている。主に、文書・ドキュメントの生成やアイデア出し、文章要約などに使っているそうだ。

「生成AIの活用が当たり前となった世代の学生がこれから社会に出てくると、業務での生成AI活用やAI PCの利用は当然のように求められる。これからはそうした環境をいかに整えていくのかが重要なテーマとなる」と白木氏は指摘した。

AI活用への期待が高まる中で、特にクライアントPCやワークステーション、モニターをはじめとする周辺機器を体験できるデモルームとして、デルはClient Solution & AI Labを開設した。

先般公開されたAI Innovation Labは、クライアント製品に限らずDell AI Factoryを実現するためのソリューション群について、ITインフラなども含めて広く紹介している。

  • 「Client Solution & AI Lab」と「AI Innovation Lab」の比較

    「Client Solution & AI Lab」と「AI Innovation Lab」の比較

Client Solution & AI Labでデモを体験

Client Solution & AI Labでは、カフェ、在宅勤務、動画配信スタジオ、フォンブース、オフィスの5つのシナリオごとに製品を展示している。加えて、バックパックなども体験可能。

「法人向けのクライアントPCは家電量販店などで触って確かめることができない。自分たちが期待している導入効果が得られるのかを事前に確認するためにも、Client Solution & AI Labに訪れてほしい。社内のユーザーにどれだけの影響を与えられるのか見積もれるはず」(白木氏)

カフェ(移動中)

カフェでの作業を支援するソリューションでは、のぞき見検出機能とコラボレーションタッチパッドを展示。のぞき見検出機能は、カフェなど公共の場で作業中に後ろでのぞき見している人を検出すると自動で画面にフィルターをかけるというもの。ノートPCだけでなく、接続しているポータブルモニターにも同時にフィルターをかけることができる。

コラボレーションタッチパッドは、Latitudeシリーズの一部製品に搭載される、Web会議を支援する機能。手元のタッチパッド上にマイクのミュート / ミュート解除、カメラのオン / オフ、画面共有やチャットをワンタッチで切り替えるアイコンを表示する。コラボレーションタッチパッドの機能自体も指でスライドするだけでオン / オフを切り替えられるため、使用しないときはオフにしておけば誤タッチのおそれがない。

  • コラボレーションタッチパッド

    コラボレーションタッチパッド

  • 指をスライドさせれば機能をオフにできる

在宅(リモートワーク)

在宅勤務を支援するAI機能として、目線補正とオートフレーミングを体験できる。AI目線補正はWeb会議中などに目線を外しても、AIが正面を見ているように自動で補正する機能。プレゼンテーション時などに資料を見ながら説明する場合でも、不自然にならないという。

AIオートフレーミングも同様に、Web会議時などに使う。画角から外れてもAIが自動で追尾することで、常に中央に映るよう調整する。

  • AIオートフレーミングなどを体験可能

    AIオートフレーミングなどを体験可能

スタジオ(固定席)

スタジオを模したデモブースでは、動画の編集や配信に対応するワークステーションを展示している。カメラの切り替えやプレゼンテーションなどを体験できる。

  • 展示機材の一例

フォンブース(移動時)

フォンブースでは、AIを使ったノイズキャンセリングを搭載する製品を体験可能だ。ヘッドセット「WL5024」は周囲の音が相手に聞こえないAIノイズキャンセリングと、周囲の音が自分に聞こえないアクティブノイズキャンセリングを備えるため、外出先での快適なWeb会議を支援する。デモブースでは実際に雑音を流しながら、ヘッドセットの効果を実感できる。

  • フォンブースのイメージ

    フォンブースのイメージ

オフィス(フリーアドレス)

オフィスでの作業を支援するソリューションでは、38インチのワイドモニター「U3824DW」にデスクトップPCとノートPCの2台を接続して利用するデモを展示する。モニターはそれぞれのPCに対応して使うこともできるし、2台のPCで1つの画面を分割して使うこともできる。

  • 1台のモニターを2つのPCで分割して利用中

    1台のモニターを2つのPCで分割して利用中

コラボレーションキーボード&マウスは、カフェのデモブースで展示されているものと同様のコラボレーションタッチパッド機能を備える。そのため、Web会議中のさまざまなアクションをワンタッチで切り替え可能だ。

  • コラボレーションキーボード&マウス「KM900」

    コラボレーションキーボード&マウス「KM900」