NECとクラフトビールメーカーであるコエドブルワリーは3月28日、世代間コミュニケーションの促進を目的に、NECのAgentic AIとビール職人が協働で20~50代の各世代の特徴や価値観を分析し、味や香りなどで表現した4種のクラフトビール「人生醸造craft」を開発したことを発表した。
両社は販売に先駆けて「人生醸造craft」の説明会・試飲会を開催し、NEC 生成AI事業開発統括部長 千葉雄樹氏とコエドブルワリー 代表取締役 朝霧重治氏が説明を行った。
AIクラフトビール「人生醸造craft」の概要
これまでNECは、さまざまな企業とともにAIを用いた商品を開発・提供してきた。例えば、木村屋と共同で開発・販売した「恋AIパン」は、Abema TVの恋愛番組「今日、好きになりました。」の参加者の会話と、フルーツやスイーツが登場する曲の歌詞をNECのAIで分析し、恋愛感情と食品をひも付けて味を表現した商品。
その他にもカゴメと共同開発した子どもの野菜嫌いを克服する「AI(愛)のプリン」や、やなか珈琲と共同開発した名作文学の読後感をコーヒーで味わう「飲める文庫」などを開発している。
今回、発表された「人生醸造craft」は、世代間コミュニケーションの促進を目的に、NECのAgentic AIとビール職人が協働で20~50代の各世代の特徴や価値観を分析し、味や香りなどで表現した4種のクラフトビールとなっている。
商品ラインアップは「人生醸造craft ~20's PINK~(発泡酒)」「人生醸造craft ~30's BLUE~(発泡酒)」「人生醸造craft ~40's YELLOW~(ビール)」「人生醸造craft ~50's RED~(ビール)」の4種類で、4本セットで1980円(税込)で販売される予定。
この商品は、ビール職人がAgentic AIを活用して2020年に誕生して即完売した「人生醸造craft」をリニューアルしたもの。NECの生成AI「cotomi」に蓄積された現代日本人の各世代が持つ価値観や特徴を用いて、Agentic AIが約140万字もの膨大なレシピ情報を自在に照らし合わせ、ビール職人との対話を通じて、新たな商品として完成させたという。
「Agentic AIは、人間の介入なしで、定義された目標を達成する複合システムです。特にNECのAgentic AIは、目的に応じてタスクの組み合わせを計画できる能力により、複雑な業務プロセスに対して意思決定まで任せることが可能です」(千葉氏)
ビールの開発に「cotomi」を使用
cotomiが行った現代日本人の各世代のペルソナ分析によると、20代は「都会でシンプルに暮らしながらも、デジタルスキルとコミュニティを活用して前向きに自分らしくチャレンジ」、30代は「仕事とプライベートのバランスを取りながら、コミュニティや社会での役割に責任を持ち、将来を見据えたサステナブルなライフスタイルを構築」となったという。
40代は「二つの重要な要素をバランスよく調整し、見識豊かな判断力と変革への情熱で、公私両面において新たな挑戦へ取り組む」、50代はこれまでの経験やスキル、人脈を総動員し、人生の多面的な領域でのバランスを考慮しながら、新たな価値の創出や次世代への支援活動を通じて、自身と世界全体の調和を活性化させる」となっている。
このペルソナ分析を基に、Agentic AIによってレシピ案が作成された。
また、商品解説文についてもcotomiを活用して制作しており、以下のような内容となっている。