環境や社会、ガバナンスなどに配慮した経営を行う企業評価は、長期的な投資には欠かせない視点。NTTデータグループのコンサルティングファームであるクニエが調査した「調達領域におけるサステナビリティ調査」の概要を発表している。
1,000人以上の企業における調達サステナビリティ担当者に行った11月28日から12月4日にかけておこなった調査では、サプライチェーンにおける調達領域での1.温室効果ガス削減(回答190社)と2.人権デュー・デリジェンス(Human Rights Due Diligence)での取り組み(回答249社)を対象としている。
サプライチェーンにおける温室効果ガス排出量を算定・報告するための国際的なガイドラインGHGのうち、間接排出にあたるScope3(環境省/Scope3排出量とは)15カテゴリのうち、原材料や消耗品の調達などを含むカテゴリ1で調査を実施。7割の企業が「取引量の多い一次サプライヤー」までは排出量の可視化ができているものの、二次サプライヤー以降まで取り組めている企業は少数。5割の企業がサプライヤーに算出方法を任せているなどの課題が見える。
また、87%の企業が一次サプライヤーに対しては人権デュー・デリジェンスを実施するが、二次サプライヤー以降まで実施できているのは国内サプライヤーであっても32%と、こちらも一次サプライヤーに対して供給する範囲までの実践はハードルが高い。しかし45%の企業が、結果の悪いまたは非協力的なサプライヤーとの取引を縮小するなど踏み込んだ活動を実施している。
同社では、Scope3の情報開示義務化は国際的な潮流であり、日本においてもサステナビリティ開示基準が公開されたため、今後幅広い業種に波及する可能性があることから早期段階での検討が必要。人権DDについては、調査のみならずその後の集計・分析、改善依頼までの流れをシステム化することで効率化できた時間をサプライヤーに対する人権DD施策改善支援に充当するなどの提言を記している。なおレポートの詳細は情報記入の上、ダウンロードできる。