DatabricksとAnthropicは3月26日(米国時間)、Databricksのデータ・インテリジェンス・プラットフォームを通じて、Anthropicのモデルとサービスをネイティブに提供する、5年間の戦略的パートナーシップを発表した。

パートナーシップの概要

Databricksの予測モデル構築、最新の生成AI、LLM(大規模言語モデル)などのAIとMLソリューションを構築、デプロイ、監視するための統合ツール「Mosaic AI」と組み合わせたパートナーシップにより、Anthropicの「Claude」がビジネスに重要な独自データとともに、1万社以上の企業に直接提供されるという。

これにより、ユーザーは自社のデータを推論するAIエージェントを構築・展開することができるようになる。現在、「Claude 3.7 Sonnet」はAWS(Amazon Web Services)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform上のDatabricks経由で利用することができる。

AnthropicのClaudeは高度な推論、企画、問題解決の機能を提供し、カスタマイズを行うための、大きなコンテキストウィンドウで大規模かつ多様なデータセットを扱うことができる、ドメイン固有のAIエージェントを構築、展開することに役立つ。

DatabricksとClaudeは、複雑なマルチステップワークフローを持つ、高度な推論ユースケースもサポートし、例えばヘルスケア分野のエージェントは臨床試験のための患者登録プロセスを合理化できるという。小売業では、エージェントは季節的な傾向や在庫レベルとともに販売データを分析し、収益最大化に向けた人員配置、プロモーション、店舗レイアウト最適化のための局所的な業務調整を推奨することを可能としている。

また、SQLクエリおよびモデルエンドポイントを介して利用可能なClaudeモデルは、Databricksのデータ・インテリジェンス・プラットフォームに、シームレスに統合される。これより、企業は手動でデータを複製する必要がなく、コストを削減することができる。さらに、ベクターインデックスを自動的に生成したり、エンタープライズデータでモデルを微調整したりすることで、RAG(検索拡張生成)によりClaudeモデルを簡単にカスタマイズできるとのこと。

今回のパートナーシップは、AnthropicのAIをDatabricksのデータのセキュリティとガバナンスを担保する「Unity Catalog」と組み合わせたものとなる。ユーザーは、データとAI資産にわたるエンドツーエンドのガバナンスを得ることができ、自動的に適切なアクセス制御の実施、コスト管理のための料金制限の設定、AIワークフロー全体を通じた系統の追跡ができる。また、安全ガードレールを導入してAI悪用の可能性を監視し、定義された倫理的境界線内でAIシステムが動作するようにすることを可能としている。