
自民党郵政族が 「郵政公社」先祖返り案も
日本郵政グループが経営の閉塞感打開に向け、新たな一手を打ち出した。日本郵政が保有するゆうちょ銀行株式約4億2000万株を追加売却、保有比率を50%以下に下げ、ゆうちょ銀行の経営の自由度を高める。
ゆうちょ銀行は、日本郵政の出資比率が50%以下に下がると、郵政民営化法の規定により、国の認可が必要だった新規業務への参入が届け出だけで済むようになる。今後の焦点は、郵政民営化法のクビキが緩まることを受け、金融事業の明確な成長戦略を打ち出せるかどうかだ。
同時に、最大の懸案である日本郵便の業績テコ入れに向けては物流準大手、トナミホールディングスを約750億円を投じて買収する方針を打ち出した。郵便物の減少に歯止めがかからない中、物流事業の強化に活路を求める狙いがある。ヤマト運輸との協業が暗礁に乗り上げた中、日本郵政は新たなテコ入れ策を迫られていた。
トナミHDは複数荷主の貨物を混載して運ぶ「特積み」が主力。企業間の長距離輸送を手掛ける同社を傘下に入れることで法人向け荷物の開拓を進めるとともに、日本郵便が得意とする二輪で運ぶ宅配便などの取り扱い個数の拡大にもつなげたい考え。
かんぽ生命保険の不正契約に伴う経営刷新で、増田寛也氏が日本郵政社長に就いて5年余。郵便事業の再建に手間取る様子に業を煮やした自民党の郵政族議員と、その支持基盤である「全国郵便局長会(全特)」は、郵便局網維持を狙いに、日本郵便への本格的な財政支援を可能にする郵政民営化法改正案をまとめ、今国会に提出する構え。
現行法では「できる限り早期」に売却するとしている日本郵政が保有する金融2社(ゆうちょ銀行とかんぽ生命)の株式について、当分の間、3分の1を保有することも義務付ける。
将来的には日本郵政と日本郵便を合併させ、かつての「郵政公社」に先祖返りさせる案も検討しており、郵政民営化路線そのものが頓挫する事態も懸念されている。
こうした事態を防ぐためにも、自力での明確な生き残り戦略を描くことが、日本郵政の経営陣に強く求められている。