プラスチック燃料を使った人工衛星向けハイブリッドエンジンを開発する新興企業Letaraは、新たに総額6.5億円の追加調達を実施したと3月11日に発表。今回の資金調達で宇宙実証に向けた開発を加速させ、早期の実現を図るという。補助金などを含めた累計調達額は約18億円となった。

  • Letaraのエンジンを積んだ人工衛星のイメージ

Letaraは「宇宙のどんな場所へも24時間以内に」をビジョンに掲げる、北海道大学認定のスタートアップ企業。真空環境下におけるプラスチックへの点火技術を保有し、人工衛星が宇宙空間で効率的に移動するためのハイブリッド化学推進機を開発・製造している。燃料にプラスチックを用いる独自技術を採用しているのが特徴で、取り扱い安全性の向上と、宇宙空間での高い推進力を発揮する。今後、宇宙実証を経て、製品の販売・量産化をめざす。

  • Letaraが開発する人工衛星向けハイブリッドエンジン

今回の追加資金は、優先株式と新株予約権付社債の発行、銀行融資によって調達。優先株式は全日空商事、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)、SMBCベンチャーキャピタル、豊田合成が、新株予約権付社債はあおぞら企業投資がそれぞれ引き受けた。融資したのは三井住友銀行。

なお全日空商事は同日、Letaraへの出資と資本業務提携契約の締結をあわせて発表。同社製品の米国を中心とした国内外市場における営業活動を強化し、サプライチェーン最適化を支援する。

全日空商事ではこれまでLetaraに対し、エンジン開発部材の調達支援や、国内外での共同マーケティング活動を実施してきた。今回、Letaraのさらなる技術発展と事業拡大を推進するため出資を行い、資本業務提携契約を締結。全日空商事の航空産業におけるネットワークや米国における事業基盤を活かし、米国を中心とした国内外市場におけるLetara製品の営業活動強化や、サプライチェーンマネジメントの最適化を図り、事業展開スピードを加速させるとしている。