2月27日と28日の2日間、日本教育情報化振興会(JAPET&CEC)主催の教育DX推進フォーラムが、国立オリンピック記念青少年総合センター(東京代々木)で開催された。展示ブースには30社以上が出展。学校教員、教育委員会、教育関係者が数多く訪れていた。
GIGAスクール構想の推進により、2020年度から2021年度にかけて小学校から高等学校まで、児童・生徒1人に1台の端末や通信ネットワーク環境が整備された。それから数年たった現在、「NEXT GIGA」として、端末のリプレース時期を迎えており、PCが再び注目を集めている。そこで、同フォーラム出展したマウスコンピューターの担当者に、最近のニーズや同社の教育向けPCの特徴を聞いた。
同社は、GIGAスクール構想の当初から「GIGAスクール構想対応PC」を提供してきた。「NEXT GIGA」に向けては、文部科学省発行の「GIGAスクール構想の実現標準仕様書」に沿う形で、反応の改善やスタイラスペン(タッチペン)の仕様変更など、現場の声を聞きながらブラッシュアップを進めてきたという。
スタイラスペンは、従来の電池式からUSB充電方式に変更。ペンについている LEDライトの色で「低充電」「充電中」「充電完了」を確認でき、対応アプリにおいて、筆圧に応じて太さや濃淡の違いを表現できる。充電式に変更したことにより、電池を入れ替えることなく、より長時間の使用が可能になった。
GIGAスクール構想対応PCとして2種類のコンバーチブルPCを提供
同社は現在、GIGAスクール構想対応PCとして、Windows 11 Pro搭載で11.6型の「MousePro T1-DAU01BK-A」とChromeOS搭載で、11.6型の「mouse Chromebook U1-DAU01GY-A」を提供している。いずれもディスプレイ部分が360度回転するコンバーチブルPCの形状で、タブレットとPCの2wayで利用できるようになっている。
「MousePro T1-DAU01BK-A」は、「MousePro P116」の後継機種で、約76cmからの落下テストをクリアする耐衝撃性と、ディスプレイは11.6型の強化ガラスで10点マルチタッチとペンタッチ操作が可能。オートフォーカス機能を備えた500万画素のカメラを搭載するなど、教育市場からの声をもとに開発を行ったという。基本スペックは、CPUがインテル N100、メモリが8GB、ストレージとして128GB SSDを搭載。3年間無償保証の対象となっている。
「MousePro T1-DAU01BK-A」は、マイクロソフトの文教向けモデル・学校教育割引ライセンスである「Shape the Future K-12 向けプログラム」に対応する。このプログラムは、割引価格が適用されたWindows ライセンスを搭載するデバイスを購入できるプログラムとなっている。
一方の「mouse Chromebook U1-DAU01GY-A」は、「MousePro T1-DAU01BK-A」同様、机の高さを想定した約75cmからの落下テストをクリアする耐衝撃性と、防塵等級IP4xに準拠。液晶は11.6型で、「MousePro T1-DAU01BK-A」と同様に10点マルチタッチとペンタッチ操作が可能で、500万画素のオートフォーカス機能を備えるカメラを搭載する。 基本スペックは、CPUがインテル N100、メモリが8GB、ストレージとして64GB eMMCを搭載。こちらも3年間無償保証の対象となっている。ChromeOS搭載PCは人気が高まっているという。
堅牢性とサポートで差別化
同社の差別化ポイントについて、マウスコンピューター 広報室の荒木綱高氏は、約75cmからの落下テストをクリアする耐衝撃性などの堅牢性とサポートを挙げた。
「何かあったらすぐに対応できる体制が強みになっています。当社はGIGAスクールの当初から参入していますので、サポートに関する情報の蓄積もあり、対応品質は改善しています」(荒木氏)
サポートに関しては、HDI-Japanによるパソコン直販業界 Webサポートの格付けで最高の三つ星を獲得。修理にかかる時間は、基本3営業日以内で、即日対応している製品もある。
高スペックPCでSTEAM教育の需要に対応
また、同社のPCは同じ価格帯の他社製品に比べて基本スペックが高いため、STEAM教育の用途における需要も高いという。
(注)STEAM教育:科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、芸術(Art)、数学(Mathematics)の5つの分野を統合的に学ぶ教育。
文部科学省は高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)を推進しており、情報、数学等の教育を重視するカリキュラムを実施し、ICTを活用した文理横断的な探究的な学びを強化する学校などに対し、必要な環境整備の経費を支援している。補助額は、継続校で500万円/校、新規採択校で1,000万円/校となっている。そのため、この制度を利用して、高性能なパソコンを導入してプログラミングなどに利用するケースが増えているという。
また同社は昨年1月、教育・研究等の分野で相互に協力し、各種教育課題の解決に資するとともに、社会人の専門的知識、技術及び経験を活用して学校・教育現場に貢献する取組を推進することを目的に、大阪教育大学と包括連携協定を締結した。
大阪教育大学は昨年6月に研究成果を公表。高性能な端末を整備したパソコン教室がVRや3Dプリンタの活用、プログラミングなどを通じて、効果的な学びを確認できたという報告書を発表している。
そのほか、ベクターワークスジャパンは汎用CADソフトある「Vectorworks」の学生・教職員向けライセンスを提供しているが、同社は国内総販売元のエーアンドエーで動作確認を行って、Vectorworks動作確認済みPCとして販売し、高性能PCを求めるニーズに対応している。