
社債の利払い負担は依然重荷
「モバイル事業は挑戦的なプロジェクトだったが、消費者向けサービスが盤石になり、グループ全体のスクラムが強くなった」
楽天グループ会長兼社長の三木谷浩史氏は、5期ぶりの営業黒字達成に手応えを示す。同社の2024年12月期連結決算(国際会計基準)は、営業損益が529億円の黒字となり、2128億円の赤字だった前期から改善した。
背景にはモバイル事業の営業赤字が2353億円に縮小したことがある(前期は3358億円)。24年末時点の契約回線数は830万超で、1年間で177万回線の純増。24年10ー12月期のARPU(1契約当たりの月間平均収入)は前四半期比55円増の2856円で着地するなど、客単価も向上してきた。
これに伴って〝楽天経済圏〟も強固になりつつある。モバイルの利用者を電子商取引(EC)や金融のサービスに誘導する取り組みが奏功し、EC事業や金融事業の増収を後押しした。楽天モバイルの契約者は非契約者と比べ、ECモール『楽天市場』での流通総額が約1.5倍に上るという。三木谷氏が強調するグループシナジーの一例と言えそうだ。
ただ、同業他社も経済圏拡大に余念がない。KDDIは24年にローソンへの出資比率を50%に引き上げた。ポイントサービス『ポンタ』を軸に、携帯通信とコンビニの相乗効果拡大を急いでいる。小売り実店舗の存在感は楽天にはない強みだ。
NTTドコモもマネックスグループと資本業務提携し、ドコモのクレジットカード『dカード』を活用した積立サービスを始めた。これまで持っていなかった銀行機能についても「新銀行を設立する可能性も含め、(5月の)決算発表までには結論を出したい」(島田明NTT社長)。
ライバルが攻勢を強める中、楽天グループは「社債の利払い負担が経営の重荷になっている」(市場関係者)状況が続く。財務の安定とモバイル事業の黒字化を並行して進められるか、三木谷氏の手腕が問われる。