三菱電機は、二酸化炭素(CO2)を還元して資源として活用可能な一酸化炭素(CO)を生成するケミカルループ方式のCO2還元技術の実証試験を、東京科学大学と共同で2月19日に開始した。三菱電機はこの試験で得られた成果を活用し、CO2の回収から利用までを一貫して実現するCCUシステムの構築をめざす。

  • CCU(※)システムと、今回実証試験するケミカルループ方式CO2還元技術の概要

政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」宣言の実現に向け、CO2を大気に放出させずに回収し、資源として利用するCCU(※)技術が注目を集めている。しかし実用化にあたり、CO2を還元してCOを生成するときのエネルギー効率の向上が課題とされてきた。

※CCU(Carbon dioxide Capture and Utilization):工場などから排出されたCO2を回収し、燃料や化学品、建材などの製造に利用すること

今回、三菱電機が保有する水処理システムや産業システムなど、幅広い分野で培ってきたシステム設計・制御技術と、東京科学大学が保有する化学プロセス技術を融合。独自の酸素キャリア粒子(酸素を運ぶための媒体となる物質)を用いた、ケミカルループ方式によるCO2還元技術を開発した。なおケミカルループ方式とは、酸素キャリアを介して還元反応と酸化反応を別々に繰り返し行う方式のことを指す。

同技術の原理は次の通り。まず、CO2を酸素キャリア粒子と反応させることで、酸素キャリア粒子がCO2から酸素を受け取りCOを生成する(CO2還元反応)。次に、酸素を受け取った酸素キャリア粒子を水素(H2)と反応させることで、酸素キャリア粒子の酸素をH2が受け取り、水(H2O)を生成(H2酸化反応)。酸素を手放した酸素キャリア粒子は、再度CO2還元反応へと備える。このように、CO2還元反応とH2酸化反応を別々に繰り返し行うことで、COが再びCO2に戻る反応を抑制でき、高いエネルギー効率でCOを生成することが可能になるという。

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