ベネッセスタイルケアは2月18日、「人の手」による介護と「テクノロジー」の融合でより細やかな介護サービスを提供する、介護付有料老人ホーム「アリア護国寺」(一般型特定施設入居者生活介護 指定申請予定)の現地内覧・取材会を開催した。
説明会にはベネッセスタイルケア 執行役員 東京Ⅳエリア事業本部長/専門性開発部長/ベネッセスタイルケアアカデミー介護学部長の松本知恵氏、アリア護国寺 ホーム長の是枝綾乃氏、東京Ⅳエリア事業本部/専門性開発部 介護職(マジ神)の枝松裕子氏が登壇。本稿では、同施設の詳細とベネッセが取り組む介護DX(デジタルトランスフォーメーション)について紹介する。
先端技術やセンサーを活用したケアで介護DXを推進
「アリア護国寺」は、同社の有料老人ホーム最上位シリーズである「アリア」として30カ所目となる施設。
ホームのコンセプトは「叡智を紡ぎ、瞬間が煌めく~過去から現在、未来へ~」であり、「歴史や文化に醸成された叡智」「知的探求・多世代交流によって生まれる叡智」「その方の個性や生き様をを知る」「煌めく人生を送る基盤となる健康」「人とテクノロジーの融合による未来」をテーマとしている。
コンセプトにもあるように、同施設では人がテクノロジーを活用して介護をよりきめ細やかくすることにも注力。「活動」「睡眠」「排泄」「食事」の4つに対し、AIをはじめとする先端技術やセンサーなどのソリューションを活用したケアを展開することで、介護DXを推進する老人ホームとなっている。
「アリア護国寺」に導入されているテクノロジー
「活動」対しては、センサーを活用したトレーニングシステムである「TANO」を活用している。
運動・発声・脳活性化など250種類以上のプログラムがあり、楽しくトレーニングを行うことができる。また、TANOに搭載されている高速姿勢測定システム「ケアピっと」で身体の状態をアセスメントすることにより、効果的な運動の提案を可能にするという。
さらに、同施設の特徴として睡眠センサーを全居室に導入していることが挙げられる。センサーによって入居者の睡眠状態をアセスメントし、得たデータを自社開発のAIソリューションで可視化。そのデータを日々のケアやサービスに生かすことで、よりよい生活リズムや良質な睡眠へつなげることができるという。
また、排泄エコー「iViz air」を導入することにより、ポータブルエコーで、入居者の腹部の状態(便の有無や量、性状、部位、膀胱内の尿量など)の測定を行っているほか、食事のシーンでの配膳ロボットの活用や掃除ロボットの導入、顔認証服薬ソリューションなど、さまざまな場面でテクノロジーが活用されている。
介護人材不足を解消する一手「マジ神AI」とは
ベネッセは1995年に「ホームヘルパー養成講座2級課程」を開講。1997年に岡山県岡山市に高齢者向けホーム「ベネッセホームくらら」をオープンして以来、ベネッセスタイルケアの事業を通じてホームヘルプサービスを展開している。
同社は介護関連のサービスを展開する傍ら、深刻な介護人材の不足を解消する取り組みにも注力している。
同社によると、深刻な人材不足問題への解決策の方向性は「人材確保」と「必要数自体を下げる」の2つに大きく分かれているという。後者においは、ICT・ロボット活用による生産性の向上を進めることで、介護職員配置数の削減が求められている。
ベネッセスタイルケアが目指す「介護DX」では、「人がテクノロジーを活用して介護をよりきめ細かく」をモットーに入居者のQOL向上に努めており、スタッフの人財育成による業務改善やケアの質向上への取り組みを行っている。
中でも特徴的なのは「マジ神」という「介護の匠」とも言える職種だ。
マジ神とは、入居者のQOL向上を実現するために、根拠を持って課題を解決し、チームを牽引して実践・浸透・提案している腕利きのスペシャリストのことで、誰もが「あんなふうになりたい」と思えるロールモデルになる存在だという。
そして同社では、テクノロジーとマジ神の知見を合わせて、マジ神がその場にいるかのように意見を聞くことができるソリューションである「マジ神AI」を開発。
アリア護国寺でも、センサーで得られたデータとスタッフが日々残す記録データを掛け合わせ、自社開発のAIソリューション「マジ神AI」で可視化・分析。入居者のBPSD(認知症に伴う行動・心理症状)や体調変化の要因となるクオリティデータを収集するという。
そして、それらのデータを、ホームに所属するマジ神が中心となり、介護職員、看護職員、機能訓練指導員、協力医療機関の医師などと多職種で連携し活用することで、よりきめ細やかな介護につなげ、入居者のQOL向上の実現を目指すという。