ソフトバンクが2月10日に発表した2024年4~12月期の連結決算(国際会計基準)は、売上高が前年同期比7%増の4兆8115億円、営業利益が12%増の8219億円、純利益が7%増の4366億円だった。コンシューマ、エンタープライズ事、ディストリビューション、メディア・EC、ファイナンス、その他のすべてのセグメントで増収増益を達成した。
メディア・EC事業がLINEヤフーグループにおいて子会社の支配喪失に伴う利益を計上したほか、PayPayが展開するQRコード決済やクレジットカードの決済取扱高の増加などが業績を押し上げた。
同日の決算発表会に登壇したソフトバンクの宮川潤一社長は「モバイル事業は再び成長軌道に戻ってきた。従来よりも強い企業構造に変革できている」と述べた。
PayPayがPayPay証券を子会社化 「新たな金融体験を」
銀行や証券、QRコード決済やクレジットカードなどのキャッシュレス決済サービスなどを展開するファイナンス事業の業績は大幅に改善した。同事業の営業利益は前年同期の35億円の赤字から、260億円の黒字に転換。売上高は19%増の2036億円だった。
同期間における子会社PayPay単体の売上高は前年同期比18%増の1837億円で、決済取扱高(GMV)が23%増の11兆3000億円となった。営業利益も3四半期連続で黒字を達成している。
PayPayは10日、証券子会社のPayPay証券を連結子会社にすると発表した。PayPay証券株をソフトバンクより取得し、出資比率を従来の35%から75%に引き上げる。また、2024年12月には、PayPay銀行の株式取得(75%)を通じて子会社化すると発表。金融サービスをPayPayに集約させる狙いだ。
宮川氏は「PayPayグループの各種サービスとの連携を加速させていく。また、PayPayのデータや技術力を活用して商品・サービスの開発を強化し、PayPayアプリの融合による新たな金融体験の提供も加速させていく」と金融ビジネスを再編する狙いを語った。
米OpenAIとの合弁会社「最先端AIの提供を半年以内に」
ソフトバンクは、次世代社会インフラの構築に向けた取り組みも着実に進めている。2024年11月にはAIとRAN(無線アクセスネットワーク)を同一のコンピューティングプラットフォーム上で動作可能にする統合ソリューション「AITRAS(アイトラス)」の開発を本格的に開始すると発表。まずはソフトバンクの携帯電話基地局へ導入し、2026年以降には国内外の通信事業者などへの展開を目指している。