レノボ・ジャパン(レノボ)は2月6日、小中学校に1人1台ずつ端末を配備するGIGAスクール構想の次のステージ「GIGA2.0」、いわゆる「NEXT GIGA」に向け、ハードウェアとソリューションを統合したパッケージ「Lenovo GIGA School Edition」の提供を開始すると発表した。

新たなラインナップとして3つの端末を用意。児童生徒の使用を想定した堅牢性を実現し、鉛筆をタッチペンとして使用できるようにするなど、さまざまなニーズに対応させた。また、教育図書出版の新学社や児童書出版のポプラ社など教育業界を索引するパートナー各社と協業し、教育現場に役立つコンテンツやサービスを無償で提供する。

  • レノボは「NEXT GIGA」に向け、鉛筆をタッチペンとして使用できる端末を用意を提供する

    レノボは「NEXT GIGA」に向け、鉛筆をタッチペンとして使用できる端末を用意を提供する

同日の記者発表会に登壇したレノボ 執行役員副社長の安田稔氏は「GIGA2.0におけるコンセプトは、『壊れにくいこと』と『使いたくなること』。壊れにくい安心感を実現し、先生も生徒も積極的に使いたくなるようなサービスを提供する」と説明した。

  • レノボ・ジャパン 執行役員副社長 安田稔氏

    レノボ・ジャパン 執行役員副社長 安田稔氏

“壊れにくさ”を追求した新端末

「Lenovo GIGA School Edition」では、Chrome OSの「Lenovo Duet GIGA School Edition」と「Lenovo 500e GIGA School Edition」、Windows OSの「Lenovo 300w GIGA School Edition」の3つのラインナップを用意。「Lenovo Duet GIGA School Edition」は、キーボード部分を着脱できるデタッチャブル型で、「Lenovo 500e GIGA School Edition」と「Lenovo 300w GIGA School Edition」は液晶が360度回転するコンバーチブル型のタブレットPCだ。

  • 「Lenovo GIGA School Edition」の端末ラインナップ

    「Lenovo GIGA School Edition」の端末ラインナップ

3つの端末に共通する最大の特徴は、壊れにくいことだ。米国防総省が定めた「MIL規格」に加え、児童生徒の仕様を想定した独自テストを実施。「端末を76cmの高さからスチール板へ落下させる」といった15項目におよぶ独自テストを行った後、すべての機能が動作し、筐体に破損がないかを検証した。

児童生徒による想定外の使い方に対応できる機能も充実させた。例えば「小学生の児童生徒が鉛筆をUSB端子に差し込んで、その鉛筆の芯が折れてしまった」といったケースは少なくないという。黒鉛からできた鉛筆の芯には通電性があるため、その部分に電流が流れることで大きなインシデントにつながる可能性もあり非常に危険だ。そのため新端末は、USB端子に異物が入り異常な電流が発生した場合にシステムを自動でシャットダウンする設計にした。

また、GIGA2.0ではタッチペンの購入が必須となったため、多くの紛失や故障が想定され る。しかし、純正ペンだと約5000円程度と高価で再購入が難しいのが現状だ。そこで新端末では、2B以上の鉛筆をタッチペンとして使用できる「ペンシルタッチ機能」を搭載。

  • 安全かつ低コストで使用可能なタッチペンを実現

    安全かつ低コストで使用可能なタッチペンを実現

鉛筆の芯を通じて人間の体に流れる電流を検知する仕組みで、端末画面には特殊なガラス加工が施されており、鉛筆の芯で画面が汚れることない。紙と同様に芯のほうががすり減っていく。また、バッテリー不要で黒鉛で減ることがなく使える「ハードペンシル」も採用。1本あたり600円で紛失や破損した場合でも10分の1程度のコストでペンを交換できる。

活用率が増えることでのバッテリー問題にも対応する。文部科学省によると小中学生のICT機器を使用する頻度は増加傾向にあり、約7割の学校が「ほぼ毎日使用している」という。利活用の幅が広がるため長時間駆動できる端末が求められており、レノボの新端末には高耐久性バッテリーが搭載された。1000回の充放電サイクルに耐えられるバッテリー設計で、12~15.5時間以上の最大バッテリー駆動時間を実現し、1時間で75~90%まで充電可能だ。

  • 高耐久性バッテリーを搭載

    高耐久性バッテリーを搭載

生徒も先生も使いたくなる端末へ

レノボが掲げるもう一つのコンセプトは、生徒も先生も使いたくなることだ。教育ビジネス開発部部長の外山竜次氏は「だれもが使いたくなるデバイスの開発や、多彩なソリューションを用意した」と強調した。

  • レノボ・ジャパン 教育ビジネス開発部部長 外山竜次氏

    レノボ・ジャパン 教育ビジネス開発部部長 外山竜次氏

利活用を促進するソリューションとして、児童生徒向けには電子図書館やプログラミング教材、Microsoft Officeを授業で活用するための支援ツール「こどもOffice」などさまざまなサービスを提供。ポプラ社が開発する読み放題型電子図書館「Yomokka!(よもっか!)」では、“同時に何人でも何冊でも”を実現し、デジタルと紙の本のハイブリッドな学びを後押しする。

  • ポプラ社が開発する読み放題型電子図書館「Yomokka!(よもっか!)」

    ポプラ社が開発する読み放題型電子図書館「Yomokka!(よもっか!)」

教員向けには、予備機の効率的な運用サービスや端末を回収するサービスなどを提供する。「端末の修理や更新が遅れると学習に支障が出る可能性があるため、予備機の計画的な管理や運営が必要だ。また、GIGA2.0の端末導入とともにGIGA1.0で使用した端末処分の検討が必要で、処分時のデータ漏えい防止や端末の再使用・再資源化が欠かせない」(外山氏)

同社は、GIGA1.0(小中学校シェア)においてシェア首位を実現している。外山氏は「5年間安心して活用できる端末と、利活用率を向上させるための多様な教育コンテンツを提供する。また、端末の運用コストや教職員の負担を軽減するための提案も行う。レノボはこれまでの経験と実績を生かし、GIGA2.0においてもシェア首位を目指す」と意気込みをみせた。