KDDIは2月5日、2025年3月期の第3四半期(2024年4月~12月)の決算を発表し会見を開いた。事業別に営業利益を見ると、グループMVNO(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体通信事業者)と楽天ローミングの収入は122憶円減、マルチブランド通信ARPU(Average Revenue Per User:1ユーザー当たりの平均売上)収入は35憶円増、金融・エネルギー事業は126億円増、ローソン持分法利益は182億円増、DX(ビジネスセグメント)は123億円増となった。
その他、技術コストや販促費の増加などがあったものの、結果的には前年同期比で169億円増益となる8646憶円で着地。代表取締役社長 CEOの髙橋誠氏は「通期の予想に対して順調に進捗している」と振り返った。
また、「KDDI VISION 2030に向けて、今年は新本社の移転や未来のコンビニ、Starlinkによる衛星とスマートフォンの直接通信など、さまざまな取り組みを予定している。『つなぐチカラ』をAIでさらに進化させ、ワクワクする未来を発信していく」とも話していた。
なお、KDDIは同日、4月1日付での社長交代も発表した。
25年度第3四半期の連結業績は堅調な成長
第3四半期の累計売上高は前年同期比で2.3%増となる4兆3642億円、営業利益は同2.0%増となる8646憶円だった。当期利益は前年の5455億円から1.6%減となる5365億円で着地したが、子会社や関連会社の組織改編に関する一過性の影響を除けば、5316億円から0.6%増となる5365憶円だ。
いずれも通期予測に対し75%を超える進捗率となった。特に営業利益は主要事業の着実な成長とローソンの業績好調により伸長した。
パーソナルセグメントは「auマネ活プラン+」など新プランが効果発揮
パーソナルセグメントにおいては、通信事業で前年同期比35億円増の1兆1153億円となった。ブランド別ではauのARPUが前年同期比2.1%の増加、UQ mobileは同3.3%の増加となっている。UQ mobileからauへの移行も進んでいるという。
auじぶん銀行やau PAYなど金融・決済を含む高付加価値事業では、35億円増の3728億円となった。ブランド別のARPUが上昇トレンドを継続しており、通期での見通しも前年比で増収となる見込み。また、法人契約を含むスマホの稼働数が増加する一方で、auの解約率は低水準を維持している。
金融領域においてはローソンとのシナジーを強化し、以前よりもPontaポイントを貯めやすい「auマネ活プラン+」を投入。累計契約者数は140万人を突破した。auフィナンシャルグループではau PAYおよびau PAYカード、auじぶん銀行を中心に顧客基盤が拡大しており、「auマネ活プラン+」との組み合わせによりさらなる成長を狙う。
また、ローソン店舗との連携施策も進める。2024年10月に開始したPontaパスはローソンの特典を強化したことなどから、新規会員数が前四半期と比較して20%増加した。他キャリアユーザーの加入も増加しているという。
ローソンに来店することで1カ月当たり最大1ギガバイトのデータ容量が得られるpovo Data Oasisは、これまでに延べ10万人が9割超のローソン店舗で利用したそうだ。さらに、同社は2024年度内にローソン全店でeSIMの販売を開始する予定。これによりKDDIとローソン双方のさらなる成長を狙う。
ビジネスセグメントはIoTを軸にグロース領域が拡大
ビジネスセグメントの連結売上高は、前年同期比で839憶円増となる1兆120憶円だった。特にIoT関連サービスをはじめとするグロース領域が成長しており、グロース領域だけでも前年同期比で19.9%の成長だ。IoTの累計回線数も22.2%増と拡大を示している。
KDDIはAI時代における新たなビジネスプラットフォームとして「WAKONX(ワコンクロス)」を打ち出している。このプラットフォームは同社が持つ通信基盤や計算基盤の上に、運用とセキュリティの価値を組み合わせて、モビリティやリテールなど各業界のAI活用を支援するというもの。
同社は今後、WAKONXの強みをさらに進化させる。1月にはWAKONX Network Layerを通じて製品やサービスと通信を一体化する「ConnectIN(コネクティン)」を発表し、パートナー企業と通信基盤の拡大を図った。加えて、子会社化したLACのセキュリティ技術をWAKONXに搭載し、AIによるサービス高度化など通信とセキュリティの一体化を進める。
業界ソリューションも進展した。特にオフィスのデジタル化を支援するファシリティソリューションにおいては、ICT整備工事やセキュリティ、運用などグロープ間の連携を強化したことで、オフィス内装からICT環境までトータルで提供する体制を構築した。
今後はさらなる成長に向けて、高輪に開設予定の新本社で自社の取り組みをモデルケース化し、オフィスビルにとどまらずスマートシティ構築やビル運営のノウハウを蓄積する予定だ。
AI活用に向けた基盤の構築も進んでいる。多摩データセンターではH100 をはじめとするGPUを活用したAIサービスの開発準備が順調に進んでいるほか、2026年度に本格稼働を開始する予定のシャープ堺工場跡地ではNVIDIA GB200 NVL72の導入を決定したそうだ。
髙橋社長「高付加価値型の経済の好循環が必要」
髙橋氏は会見の後半、「各種の政策によって、日本の通信料金は先進国の中でも低廉な水準となっており米国の約半分にすぎない」と指摘し、続けて「設備の建設コストや運用コストが上昇しており、適正な価格競争へ協議と価格転嫁が求められている」とも述べた。
その後、「通信事業者は今後のAI活用によるトラフィックの増加や、災害・セキュリティ対策を支える。付加価値の高いサービスをお客様に提供し、価値に伴う対価をいただき、それを元にさらなる投資につなげる高付加価値型の経済の好循環が必要」と訴えた。







