所沢市、飯能市、狭山市、日高市、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)、東日本電信電話 埼玉西支店(NTT東日本)は1月17日、環境意識向上と行動変容を目的とするアプリケーション「Green Program for Employee」を活用して行政区域内の民間事業者とその従業員に対する脱炭素行動を促進する実証の結果を発表した。
21日間で脱炭素につながる行動を促進
6者は2024年8月22日に「所沢市・飯能市・狭山市・日高市の行政区域内民間事業者に対する脱炭素行動促進に係る実証実施協定」を締結。実証は10月1日から21日まで実施し、全43社47事業所の約395人が参加した。
実証では、NTT Comが参加民間事業者へ環境意識向上と行動変容を促進する「Green Program for Employee」を提供した。従業員が日々の生活においてアプリを利用することにより、脱炭素行動の促進と可視化を行い、データによる脱炭素行動傾向の把握とその有効性を検証した。
エコアクションにより5876キログラム相当の二酸化炭素排出を削減
実証の結果、総エコアクション数は2万15回に達した。アプリに会員登録したユーザーのうち244人がエコアクションを実施したという。これにより、5876キログラム相当の二酸化炭素排出量が削減された。これは杉の木668本が一年間に吸収する二酸化炭素の量と同程度だ。
最も実施されたエコアクションは「1日食べ残しによる廃棄物を出さないこと」。その他にも「エレベーターの代わりに階段を利用した」「ビン・カン・ペットボトルを分別して捨てた」「マイバックを利用した」「裏紙を使用した」などが上位となった。日常生活の中で無理せず実施できる行動が好まれる傾向にある。
反対に、「カーシェアリングを利用した」「バスで移動(10キロ以上)」「リモートワークを実施した」「紙への押印ではなく電子押印をした」「バスで移動(5キロ以内)」は実施された回数が少なかった。ただし、事前に指定したエコアクションの中で実施されなかったものは無いそうだ。
手軽に取り組めるエコアクションは全体の4割強を占めるが、二酸化炭素の削減量は全体の1割にも満たないという。洗濯物の自然乾燥や、自動車ではなく電車を利用した長距離移動などは全体の1割程度だったが二酸化炭素削減量は全体の5割を占めていた。
こうした結果から、行動変容を促すために従業員が手軽に取り組みやすいエコアクションを促すと同時に、1回のエコアクションにおける二酸化炭素削減量が多い活動についても、日常生活の中で意識的に実施してもらうような働きかけが有効となる。
参加者のうち56%が「環境意識が高まった」、57%が「環境行動につながった」と回答するなど、行動変容において一定程度の効果が発揮されたそうだ。しかし、アプリを1日しか利用していないユーザーが25%を占めるなど、継続的な利用に向けた改善の余地もうかがえる結果となった。
関心評価と生活評価の項目については標準程度であるレベル3以上が8割を占めた一方で、知識評価はレベル2以下の割合が6割を占めた。環境問題に関する知識習得を支援することで、さらなる納得感と参加の機運向上につながると考えられる。
NTT Comのソリューションサービス部の村木奏介氏は関心評価の結果を受けて、「『買い物時に環境配慮製品に気付いたときは購入する』や『環境については受動的な情報収集を行っている』という参加者が多い傾向が示された。そのため、機運醸成のフェーズにおいては積極的な情報発信が有効となりそうだ」とコメントした。
実証終了後に参加企業担当者への調査を実施したところ、企業は温室効果ガス排出量の削減やコスト削減の効果を期待しているが、それ以上に従業員の環境意識の向上自体を重要視している傾向があることも明らかになった。