The Registerは1月2日(現地時間)、「With 10 months of support remaining, Win 10 still dominates • The Register」において、昨年12月にWindows 10のシェアがさらに拡大したと伝えた。
10か月後に予定しているWindows 10のサポート終了を前に、Windows 11のシェアが後退している事実を伝え、Microsoftに戦略の再考を促した。
Windows 10は拡大、11は縮小
Microsoftは自社にとって優位な統計データ以外ほぼ公開しないとして、The RegisterはStatCounterの統計データを取り上げている。StatCounterによると、昨年12月のWindowsバージョン毎のシェアはWindows 10が62.7%で首位を維持。これにWindows 11が34.12%で続いたとされる。
Windows 10は2カ月連続のシェア拡大で、11月と比較して0.87ポイント増加。対してWindows 11は2か月連続のシェア縮小で、11月と比較して0.82ポイント減少となった。
Windows 11の問題だけではない可能性
Windows 11のシェアが伸び悩む理由として、「Windows 11の仕様とシステム要件」が要因の一つとして考えられている。特にトラステッドプラットフォームモジュール(TPM: Trusted Platform Module)2.0は比較的新しいコンピュータにのみ搭載されており、古いコンピュータの移行が進まない原因とされる。
しかしながらこの問題はシェア伸び悩みの理由にはなるが、Windows 11のシェア減少および、Windows 10のシェア拡大の理由にはならない。The Registerはこの点について次のように推察している。
- Windows 11を「試用」したが気に入らず、Windows 10にダウングレードした
- 安定性と既存システムとの互換性を優先し、Windows 10をプリインストールしたコンピュータを調達したか、またはWindows 10に積極的にダウングレードした
今後の動向
Windows 10のシェア拡大については理由が不明瞭で、今後も増加の一途を辿るのか定かではない。しかしながら、これはMicrosoftの期待するところではなく、今後も増加するようであれば何かしらの対策が必要になるとみられる。
現在、Microsoftは新しいPCカテゴリーとしてAI(Artificial Intelligence)をサポートした「Copilot+ PC」を市場に投入するなど、新しい可能性を秘めたWindows 11を積極的に推進している。
しかし、市場は望んだ反応を見せていない。そのため、The RegisterはMicrosoftが次のいずれかを選択する可能性があるとしている。
- Windows 10のサポートを延長する
- Windows 11のシステム要件を再検討する
Microsoftはこれら選択肢について否定的な立場だ。前者についてはすでに有料の「Windows 10用の拡張セキュリティ更新 (ESU) プログラム | Microsoft Learn」を発表しており、後者についても再検討しない姿勢を明確にしている(参考:「Microsoft「Windows 11最小システム要件は譲れない」と明言、TPM 2.0は必須のまま | TECH+(テックプラス)」)。
Windows 10のサポート終了は2025年10月14日を予定している。Microsoftがこの難局をどのように打開していくのか、注目していきたい。