TBMは、カーボンリサイクル技術を活用した低炭素素材「CR LIMEX」を販売開始したと12月27日に発表。同社が持つCO2の固定化技術により、省CO2実現のためのプラスチック代替素材と製品の早期社会実装を図っていく。

  • TBM、排ガス由来CO2+再生プラを使った低炭素素材「CR LIMEX」販売開始

CR LIMEX(シーアール ライメックス)は、排ガス由来のCO2などを使った炭酸カルシウムと、再生プラスチックを組み合わせた射出成形対応の素材。スイスで1月に開催されたダボス会議(世界経済フォーラムの年次総会)において、“次世代LIMEX”として発表しており、今回正式に販売開始したかたちだ。

CR LIMEXは、排ガス由来のCO2と、工場から排出されるカルシウム含有廃棄物などを低環境負荷プロセスで化学合成した、CCU炭酸カルシウムを主原料としている。

副原料である樹脂部分には、工場から排出される廃プラスチックを再資源化した再生プラスチックを使用。従来の汎用バージンプラスチックと比べて環境負荷の低減が可能とする。

素材開発にあたり、国内特許も取得済み。なお、CR LIMEXも従来のLIMEX素材の定義と同様に、炭酸カルシウムなどの無機物を50%以上含む無機フィラー分散系の複合素材に該当する(CR:Carbon Recycle)。

CR LIMEXの主な特徴は以下の4点。

排ガス由来のCO2の固定化を実現

排ガス由来のCO2を化学合成したCCU炭酸カルシウムとして固定化することで、素材全体では重量比約25%のCO2を含む(推定に基づく概算値)。製品に使用された場合は、焼却処理されない限り、排ガス由来のCO2の長期固定化が実現できるとのこと。

再生プラスチックを使用し、プラスチックの資源循環にも寄与

副原料となる樹脂部分に、廃プラスチック由来の再生プラスチックを使用。これにより、カーボンリサイクル技術によるCO2の有効活用だけでなく、プラスチックのマテリアルリサイクルを通じた資源循環にも寄与するという。

温室効果ガス排出量と石油由来プラスチック使用量を削減

バージンプラスチックと比べて、原材料調達・ペレット製造・焼却時における温室効果ガス(GHG)排出量は約34%、石油由来プラスチックの使用量は約34%の削減が見込めるとする(推定に基づく概算値)。

炭酸カルシウムの制御技術を活用し、安定した成形性を付与

従来のLIMEXの開発で培ってきた炭酸カルシウムの制御技術を活用し、CR LIMEXでも既存のプラスチック製品の成形設備による安定した製品化を可能にした。

カーボンリサイクルは、カーボンニュートラル実現に寄与する革新的技術として世界的な注目を集めている。政府が推進するGX(グリーントランスフォーメーション)戦略においても重要な取組の1つとして位置付けられており、「カーボンリサイクルロードマップ」において、従来の汎用バージンプラスチックに代わるカーボンリサイクル製品の普及開始時期が2040年頃からと設定されている。

TBMは今後、CO2の固定化技術による用途開発をはじめ、さまざまな業界のメーカーや関連企業、 脱炭素の取組を推進する自治体との連携を強化し、カーボンクレジットの創出もめざしていく。