TrendForceによると、2024年第3四半期のエンタープライズSSD市場は、AI関連アプリケーションからの堅調な需要に牽引される中、市場の需要に対してSSDサプライヤからの供給が間に合わない面があり、前四半期比28.6%増の73億7900万ドルと大きく伸びたという。また、NVIDIAのHシリーズに対する需要とAI学習用サーバの継続的な需要の高止まりに後押しされる形で大容量モデルの需要が強かったことから、エンタープライズSSDの総調達量も同15%増となったという。

  • 2024年第3四半期におけるNANDメーカーのエンタープライズSSD売上高ランキング

    2024年第3四半期におけるNANDメーカーのエンタープライズSSD売上高ランキング (出所:TrendForce)

TrendForceでは、2024年第4四半期にはエンタープライズSSDの調達需要が鈍化すると予測しており、出荷量の減少に伴い、市場規模が縮小するとしている。

サプライヤ市場シェアトップはSamsung

同四半期におけるエンタープライズSSD売上高のトップサプライヤはSamsung Electronicsで、その額は同29%増の32億ドル。市場シェアは43%と1社で4割を占める。同社は同四半期、生産調整により一部の出荷が遅れたものの、大容量モデルの需要増を背景に、予想を上回る成長を遂げたという。第4四半期についても、サブ8TB製品が好調なこともあり、成長が期待されるという。

2位はSK Group(SK hynixとSolidigm)で、第3四半期の売上高は同12.8%増の20億5800万ドル。市場シェア28%となっている。同社は、包括的なAIストレージ製品のラインアップで過去最高の出荷を達成しており、第4四半期も176層TLC NANDを使用する次世代PCIe 5.0 SSDの量産により、グループとしての収益が安定するとTrendForceでは予想している。

3位はMicron Technologyで、大容量エンタープライズSSDの出荷が安定的に伸びたおかげで、第3四半期の売上高は同48%増の11億5300万ドルと成長し、市場シェアも同2ポイント増の15.6%まで上げてきている。大容量製品の生産量増加が同社の供給ビット数の増加に貢献したが、一部の注文が60TB SSDに移行していることが第4四半期の課題となる可能性があるともしている。Micronも、60TB SSDを複数クライアントと検証中であるが、この納入の遅れが第4四半期の売り上げに影響を及ぼす可能性があるという。

4位はキオクシアで、同四半期の売上高は同29.8%増の6億3600万ドル。出荷量は増加したものの、大容量製品の売り上げの伸びは競合他社に後れをとる形となった模様である。5位はWestern Digital(WDC)/SanDiskで、同社はHDD事業とNAND/SSD事業を2つの上場企業に分割するという戦略的な再編を実施した。この動きは、業務の俊敏性を高め、主要な北米顧客との連携を深めることを目的としたもので、こうした取り組みもあり、同社の第3四半期におけるエンタープライズSSD事業の売上高は、北米顧客からの受注が好調に推移。その結果、同102.1%増の3億3200万ドルと3桁%の成長率を達成したという。