東京電力ホールディングスら4社は、シャープ製の家庭用蓄電池を遠隔制御するデマンドレスポンス(DR:Demand Response)の実証を12月27日から2025年3月31日まで実施。再生可能エネルギーの有効活用や、電力の安定供給、ユーザー負担軽減につながる新たな家庭向けDRサービスの検討を進めていく。
気温上昇などによる急な電力需要の増加や、発電機のトラブルなどが原因で供給力が低下することにより、電力需給がひっ迫するケースが相次いでいる。また再生可能エネルギー導入量の増加を背景に、太陽光発電などの出力制御を実施するケースも全国的に広がっている。
電力需給バランスを維持するには、電力供給量の変動に応じて、電力需要量を抑制・創出する必要がある。東京電力ホールディングス(東電HD)や、東京電力エナジーパートナー(東電EP)、エナジーゲートウェイ、シャープエネルギーソリューションの4社は、家庭用蓄電池を用いた調整力の創出が重要と考え、今回の実証を行うこととした。
具体的には、クラウド上のAIを活用するシャープのHEMSサービス「COCORO ENERGY」と連携する、シャープ製の家庭用蓄電池をPPHを通じて遠隔制御し、調整力創出量などを検証。クラウド連携された蓄電池をPPHに接続するのは初めての試みだという。
シャープ製の家庭用蓄電池を設置済みのユーザーで、東電EPによるモニター募集に参加申込みした8件(家庭用蓄電池8台)が、今回の実証の対象となる。検証項目は以下の3点。
- 家庭用蓄電池による調整力創出量
- 電力需給ひっ迫時における、需要と供給のバランス維持のための調整力の創出量を検証
- 遠隔制御に対する家庭用蓄電池の追従性などの技術性
- PPHへの接続を前提にした遠隔制御に対し、家庭用蓄電池の応答の正確性・スピードや、あらかじめ策定した家庭用蓄電池の運転パターンに基づく制御実績等の確認
- 電力調達コストの削減効果などの経済性
- 電力調達コストおよびお客さまの電気代に与える影響等の検証
調整力の創出にあたり、今回は分散型エネルギーの相互接続を容易にする情報通信基盤「Public Power HUB」(PPH)を採用。電気通信事業などを展開するEX4Energyが提供するエネルギー機器相互接続サービスで、PPHによってメーカーごとに異なる通信方式を最適に調整できるほか、電力会社から複数のメーカーに対して効率的な機器制御指示も行え、「多種多様な通信方式を持つ家庭用蓄電池を効率的に束ねて制御できる」としている。