筑波大学と三井不動産は12月20日、両者間での「産学連携の推進に関する協定書」を締結したことを発表した。
次世代サイエンスパークによる新産業創造へ連携を始動
筑波大は、多くの学問分野を有する新構想大学として発足し、約2万人の研究者を有するサイエンスパーク「筑波研究学園都市」の中核機関として、日本国内における科学技術の発展に寄与してきた。同大学は高い学際性と国際性を備え、2023年には大学の研究力をベースとした総合知を国の産業成長に資することを目的とした「IMAGINE THE FUTURE. Forum事業」の推進を表明するなど、地球規模の課題解決に向けて未来創造への冒険と挑戦を推進している。
一方の三井不動産は、2020年4月に産学連携に関する専門部署を設置し、現在までにさまざまな大学とのイノベーション創出を目指した共同研究を実施。加えてアカデミアを中心としたサイエンスパークに関する知見を深め、新産業創造を目指してきたとする。そして2024年4月にはイノベーション推進本部を新設し、イノベーション創出や新産業創造に向けた産学連携による取り組みを、一層強力に推進しているという。
そして両者は、地政学リスクの高まりや技術の加速度的な進化、そして世界的な高度人材の獲得競争などにより、産業を取り巻く環境が大きな変化を遂げる昨今において、産業界からのアカデミアに対する期待が高まっていることから、連携開始に向けた協定を締結したとのこと。そして具体的には、主に以下4つのテーマについて共同で取り組んでいくとする。
筑波大と三井不動産による連携の主なテーマ
- 筑波研究学園都市のサイエンスパークとしてのさらなる発展に向けた連携
- 先端科学技術の探求
- エリアを超えた連携の強化
- 体育スポーツと街づくりの連携
筑波研究学園都市のサイエンスパークとしてのさらなる発展に向けては、継続的な人口増加を遂げるつくば市や国際的な研究ネットワークを有する同都市の強みを活かしたさらなる発展を見据え、サイエンスパークとして必要な機能の再整備を図るとともに、社会課題解決および新産業創造を目指すとのこと。具体的には、産学連携拠点「IMAGINE THE FUTURE. Forum施設」や「デジタル・ヒューマンイノベーション研究棟」をはじめとする研究開発施設の企画に、三井不動産の知見を盛り込み、筑波研究学園都市の魅力をさらに高めていくとする。
また多岐にわたる分野で先端的な研究を行う筑波大と、街づくりを通じて培われた事業想像力を有する三井不動産の強みを活かすとしており、同社が街づくりを推進する柏の葉や日本橋エリアとのアクセスも優れることから、同エリアを中心に広がる「LINK-J」や「クロスユー」などのライフサイエンスおよび宇宙分野におけるコミュニティを通じ、連携を深化させるという。
そして筑波大はスポーツ科学の分野でも先進的な研究を行っており、運動生理学やスポーツ心理学、トレーニング科学などの分野でも多くの知見を蓄積しているとのこと。これにより特定のスポーツに限らず、複数スポーツを行うことで多様な運動能力を育成する「マルチスポーツ」の効果やメリットを科学的に探究しているとする。一方で三井不動産は、スポーツを通じた感動体験の創出にも注力していることから、両者の協働によるマルチスポーツの効果を活用した多様なスポーツプログラムの提供や地域との連携を通じ、筑波研究学園都市をはじめとした地域社会にマルチスポーツを広めていくとした。
なお筑波大と三井不動産は、今回の研究により、次世代のサイエンスパークのあるべき姿および先端科学技術の探求を通じて、持続可能な社会の実現に向けた新産業創造を目指すとしている。