サイフューズとSCREENホールディングスは12月19日、再生・細胞医療分野における製品・サービスの実用化を目指し、両社の技術を融合することで、方法論が限られていた細胞製品の品質管理を刷新する新技術のイノベーションを実現したことを発表した。

OCT技術とAIの活用で細胞製品の安定生産に貢献

細胞製品の材料である「生きている細胞」は、均一に加工することが難しく、3D細胞製品の製造工程においては、細胞組織を細胞1個の状態まで細分化しての検査・評価や抜き出し検査など、煩雑な処理が必要とされていた。

そうした中でSCREENは、独自で開発した計測・画像解析・AIの技術を結集させ、高度光学技術(OCT技術)を搭載した細胞断層撮像システム「Cell3iMager Estier」でのOCT計測技術を開発。「ヒト3Dミニ肝臓」をはじめ、バイオ3Dプリンタや再生医療製品などの開発で実績を持つサイフューズが、同社の基盤技術を用いて作製した複雑な立体構造を呈する3D細胞製品に用いることで、細胞組織の内部構造を培養した状態のまま解析できるようになり、特別な処置なく短時間での全数評価が可能になったとする。

  • 新技術のイメージ

    新技術のイメージ(出所:SCREENホールディングス)

SCREENは今回の新技術により、眼科診断など限定的な用途での産業応用に留まっていたOCT技術を活用し、さまざまな細胞を材料とした製品において“特別な処置をすることなく、短時間で”の観察・計測・評価の可能性を拡大するとしており、将来的には、現在サイフューズが開発中の次世代3D細胞製品の製造工程に同技術を導入することで、安定した品質の製品製造を実現できることが期待されるとした。また細胞の基礎研究や再生医療などの細胞治療分野に適用することで、さまざまな技術における社会実装の早期化にも貢献できるという。

加えて両社では、今般の連携の成果を踏まえ、サイフューズが進めるヒト臓器の機能を体外で再現する「機能性細胞デバイス(FCD)」の製品ラインナップ拡大、およびSCREENが細胞イメージング分野において進める、ディープラーニングを活用したラベルフリー自動解析・計測技術のさらなる発展も目指すとのこと。そして両社は今後も、新価値創造に向けた企業間連携を強化し、細胞製品の分野に限らず新薬開発および次世代ヘルスケアなどの成長市場へも製品・サービスを展開していくとしている。