マネーフォワードのグループ会社であるマネーフォワードクラウド経営管理コンサルティング(MFCC)は12月18日、経営管理領域における事業を本格始動すると発表した。アウトルックコンサルティングとナレッジラボと協業し、各社の強みを活かして経営管理領域における事業を拡大する。
経営管理領域での事業活動を本格化
マネーフォワードでは、経営管理領域の事業拡大を目的に新会社のMFCCを立ち上げており、12月からMFCCを本格始動し、経営管理領域におけるSaaS(Software as a Service)とコンサルティングサービスを提供。
マネーフォワード 執行役員 マネーフォワードビジネスカンパニー 経営管理・コンサル領域担当で、MFCCの代表取締役を務める島内広史氏は「経営管理領域のSaaS市場は拡大傾向にある。当然、マネーフォワードとしても拡大する市場に対してサービスを提供し、事業を強化していく狙いもある。また、財務会計と近い領域のため、これまでのSaaSビジネスとの親和性も高く、経営管理領域での事業活動を本格化する」と話す。
また、MFCCの設立に至った背景として島内氏は「財務会計と異なり、経営管理は各社各様のため、こうしたニーズへの対応で単一のプロダクトだけでは厳しい。そうしたことから、自前のプロダクトを持つ2社と協業し、各社のお客さまニーズに合わせてサービスを提供していく」と述べている。
MFCCの始動に先立ち、11月に経営管理・予算管理システム「Sactona」を提供するアウトルックコンサルティングの株式を60%取得し、12月18日付でグループにジョインすることを公表している。Sactonaは、企業ごとのニーズに応じて機能を柔軟にカスタマイズできることから、複雑な経営管理業務が必要となる中堅・エンタープライズ企業を中心に導入が進んでいる。
一方、マネーフォワードのグループ会社として、中小・中堅企業を中心に経営管理プラットフォーム「Manageboard」を提供してきたナレッジラボとの株式交換を行い、2025年1月にマネーフォワードの100%グループ会社化を予定。
島内氏は「財務会計は実績のデータ、経営管理は予算のデータをプラスアルファして予実を見たり、細かいデータで経営判断したりすることが可能になるため顧客の財務会計に加え、経営領域において支援ができる。2社の顧客基盤を活かせるためセールスの強化が進めやすいほか、各社の製品を掛け合わせて新しいサービスを創出していく」と意気込みを語っている。
MFCCでは、マネーフォワード、アウトルックコンサルティング、ナレッジラボの3社が協業して力を結集することで、経営管理領域において中小企業からエンタープライズ企業まで対応する幅広いサービスラインアップを揃えるとともに、コンサルティング事業を強化して事業拡大を図る。
さらに、MFCCを中核にアウトルックコンサルティングとナレッジラボのサービスや人材を活かし、経営管理とコンサルティングを掛け合わせたサービスを提供し、マネーフォワードグループとして、従来からのバックオフィスの業務効率化にとどまらず、企業の成長支援へとサービスの提供価値を拡大していく。
経営管理領域を2本目の柱に
3社の協業によるシナジーとして「事業規模に合わせたサービス展開」「幅広い顧客ニーズへの対応」「複雑化する顧客課題の解決を促進」の3つを想定している。
事業規模に合わせたサービス展開では、中小・中堅企業向けにはナレッジラボのManageboard、カスタマイズ性が求められるエンタープライズ企業向けにはアウトルックコンサルティングのSactonaを提供することで、中小企業からエンタープライズ企業まで幅広い顧客層に対応。
幅広い顧客ニーズへの対応については「マネーフォワードクラウド会計Plus」や「同クラウド連結会計」で行ってきた実績管理に加え、Manageboard、Sactonaを提供することで、予算管理や予実分析、見通し管理など、管理会計まで一気通貫してサポートする。
複雑化する顧客課題の解決に関しては、幅広い事業規模の顧客のビジネスを支援するにあたり、顧客の業務や社内システムが複雑化することが想定されるため、業務デザイン・コンサルティング力の強化が必要になる。そうしたことから、3社間での人材交流やノウハウの共有を通じて、マネーフォワードグループ全体のコンサルティング力を強化し、顧客課題を解決していく方針だ。
マネーフォワード 執行役員 マネーフォワードビジネスカンパニー CSOの山田一也氏は「経営管理領域に対する投資に真摯に取り組んでいく。当社はSaaSの事業において、まずは中小企業向けに事業を立ち上げた。その後は中堅、エンタープライズ企業向けにHRソリューションやERPソリューション、マネーフォワードケッサイ、マネーフォワード Pay for Businessなど、SaaSとFinTechを組み合わせたSaaS×FinTech戦略を事業の柱とし、次の柱として経営管理領域を戦略にしていくため、積極的に投資を行う」と力を込める。
経営管理領域では、今年8月にログラスがシリーズBにおいて70億円の資金調達を実施するなど注目を集めている。そのため、マネーフォワードでは同領域に積極的に投資していくことで事業の2本目の柱として位置付けていく考えだ。