世界半導体市場統計(WSTS)による「WSTS 2024年秋季半導体市場予測」が12月3日に発表された。それによると、2024年の半導体市場は6月に発表した春季予測の前年比16.0%増から、同19.0%増へと成長率が引き上げられ、金額規模も前回予測の6112億3100万ドルから6268億6900万ドルへと引き上げられた。

また、2025年については、前回予測では同12.5%増の6873億8000万ドルとしていたが、今回は同11.2%増の6971億8400万ドルと成長率そのものは若干の引き下げが行われたが、金額そのものは上方修正されているほか、2年連続の2桁%の成長は維持されている。

春季予測から2024年の半導体市場が上向いた背景には、AI関連の需要が堅調に推移しており、それに伴うメモリ製品やGPUなどのロジック製品の販売が好調である点が挙げられるという。ただし、AI関連を除くと、2023年は好調だった自動車関連が低迷したことに加え、設備投資の冷え込みを背景とした産業用途も需要が鈍化するなど、多くの製品でマイナス成長となることが予測されているという。ただし、2025年に入るとAIデータセンターへの投資が続くことに加え、AI PCやスマートフォン(スマホ)など、AI機能を搭載した端末が増加していくことが、半導体需要の拡大に寄与することが見込まれること、ならびに世界経済も緩やかながら拡大傾向となることが、半導体需要の押上要因につながるとの見立てを示しており、その結果、メモリならびにGPU以外の製品も前年比でプラス成長が期待できるようになるとしている。

2025年はすべての製品カテゴリでプラス成長を予測

その製品カテゴリ別に2024年の市場を見ると、ディスクリートが同11.2%減の315億ドル、オプトエレクトロニクスは同2.5%減の421億ドル、センサ&アクチュエータが同5.1%減の187億ドルとしているほか、IC全体で同24.8%増の5345億ドルと予測している。

ICを製品別でみると、メモリが同81.0%増、ロジックが同16.9%増、マイクロが同3.9%増、アナログが同2.2%減と予測している。

  • 製品カテゴリ別半導体市場予測

    製品カテゴリ別半導体市場予測 (出所:WSTS)

また、2025年については、ディスクリートが同5.8%増の334億ドル、オプトが同3.8%増の437億ドル、センサ&アクチュエータが同7.0%増の200億ドル、そしてIC全体が同12.3%増の6001億ドルと予測している。ICを製品別で見た場合は、メモリが同13.4%増、ロジックが同16.8%増、マイクロが同5.6%増、アナログが同4.7%増と予測している。

  • IC製品別の市場予測

    IC製品別の市場予測 (出所:WSTS)

日本市場は2024年に7兆円規模にまで成長

このほか、日本市場のみを見た場合、2024年の市場規模は円安の影響などもあり、前回予測の同4.6%増の約6兆8670億円から、同8.7%増の7兆1345億円と7兆円規模へと予測が引き上げられている。

また、2025年については同8.3%増の約7兆7240億円と予測されているが、これは前回予測の同9.3%増の約7兆5088億円からは若干の引き下げとなっている。

なお、ドルベースで見ると、2024年は同1.4%増の474億530万ドル、2025年は同9.4%増の518億7370万ドルとの予測で、前回予測の2024年の同1.1%減の462億5400万ドル、2025年の同9.3%増の505億7800万ドルからは引き上げられている(1ドルあたり、2024年を150.5円、2025年を148.9円で換算。前回予測は2024年、2025年ともに148.5円で換算していた)。

  • 世界の地域・国別半導体市場予測

    世界の地域・国別半導体市場予測 (出所:WSTS)