Hewlett Packard Enterprise(HPE)が仮想化ソリューション「HPE VM Essentials」を発表した。HPEおよび外部ソフトウェア上でも動く仮想化技術となり、BroadcomのVMwareライセンス体系の変更で揺れる仮想化分野に対し、選択肢を提供するという。

仮想化を含めたIT戦略の再考が進む

「2024年のIT業界を振り返ったとき、生成AIに並ぶトピックが仮想化だ」--。とHPEの担当者はいう。仮想化のトピックとは、仮想化大手のVMwareを買収したBroadcomの動きだ。HPE CEO(最高経営責任者)のAntonio Neri氏は基調講演で、BroadcomのVMwareライセンスの変更により「仮想化のコストが3~5倍になった」と顧客の影響を話した。

HPEのVM Essentialsは2024年前半にHPEが打ち出したもので、6月に開催したラスベガスで正式に発表した。KVM(Kernel-based Virtual Machine)をベースにエンタープライズ向けにハードニングしたコア機能を組み合わせた仮想化技術となる。

当時はHPEのプライベートクラウドプラットフォームに組み込まれる形を採用し、明確に「VMwareの選択肢」ということはなかった。あれから5カ月、「HPE Discover Barcelona」の会場でCEOのNeri氏、それにシニアバイスプレジデント兼ハイブリッドクラウド担当COO(最高執行責任者)のHang Tan氏は「選択肢を提供する」と明言する。

  • HPE シニアバイスプレジデント兼ハイブリッドクラウド担当COO(最高執行責任者)のHang Tan氏

    HPE シニアバイスプレジデント兼ハイブリッドクラウド担当COO(最高執行責任者)のHang Tan氏

「HPEが仮想化市場に参入する理由は、仮想化そのものではない。仮想化のコストが予期せずに高くなり、クラウドのコストが高くなる中で、生成AIの活用も求められている。これがCIO(最高情報責任者)やIT部門にプレッシャーとなっており、仮想化を含むIT戦略の再考が進んでいる」とTan氏。HPEのVM Essentialsは仮想化部分での回答となることを目指す。

  • 発表当初はHPE Private Cloud Business Editionに組み込んだ形での提供だった(左)が、単独のソフトウェアとしても提供することが発表された(右)

    発表当初はHPE Private Cloud Business Editionに組み込んだ形での提供だった(左)が、単独のソフトウェアとしても提供することが発表された(右)

Morpheuse Dataのマルチ/プライベートクラウド管理技術が土台

今回、発表したのは、HPE VM Essentialsのスタンドアロン(HPE VM Essentialsソフトウェア)。HPEの機器(ProLiant、Alletra)に加え、HPE以外の機器でも動かすことができる。土台にあるのは、HPEが2024年8月に買収完了したMorpheuse Dataのマルチ/プライベートクラウド管理技術だ。

これを利用して「単一の管理画面ですべての仮想マシンを管理できる」とTan氏は記者向けのブリーフィングで説明した。このスタンドアロン版は、βプログラムのフィードバックで得られた要望を実現した。同プログラムでは、使いやすさ、価格体系も評価されたという。

Tan氏によると「トレーニングに多くの時間を割く必要がないので、(VMwareからの移行が)簡単だという声も多くもらっている」という。価格ではコア単位ではなくソケット単位で提供する。

バックアップでは、CohesityとCommvaultがサポートを表明しているという。差別化は、ハイブリッドITの一部として管理・運用できる点だ。

「顧客は仮想化技術をそれ単体で選ぶのではなく、仮想化を最適化しコストを抑えることができるプラットフォームで選んでいるHPEでは、HPE GreenLakeプラットフォームの一部としてVM Essentialsを提供することで、単なる仮想化ソリューションを超え、マルチベンダー、マルチクラウド環境に対応した統合管理プラットフォームとしての価値を提供する」(Tan氏)。

  • VM Essentialsと既存のvSphereの両方を単一のプラットフォームで管理できる

    VM Essentialsと既存のvSphereの両方を単一のプラットフォームで管理できる

Tan氏は「クラウドネイティブやAIワークロードなど、将来のニーズにも対応できる拡張性を備えている」とも説明した。HPE VM Essentialsソフトウェアは2024年中に、HPE Private Cloud Business Editionの組み込み版は2025年以降に提供開始する。