仏エアバスは、アジア太平洋地域の航空機市場で今後20年間に19,500機の新造航空機が必要になるという予測を示した。世界全体の需要の46%にあたり、世界全体では2043年までに約42,430機の新造機が必要になる見通し。
ブルネイで開催されているアジア太平洋航空協会(AAPA)の年次総会で、同社のアナンド・スタンレー アジア太平洋地域プレジデントが現地時間11月13日に発表したもの。同氏は、アジア太平洋地域の継続的な成長と、世界の航空市場における重要性を強調したという。
同氏はまた、「世界で最も急速に成長している航空市場のひとつであるアジア太平洋地域は、今後20年間で大きな成長が見込まれる。旅客と貨物輸送の両方の需要が高まる中、エアバスは最も効率的で持続可能な最先端の航空機を提供し、航空業界の脱炭素化の取り組みや、航空会社の長期的な目標達成に寄与する」とコメントしている。
アジア太平洋地域の航空機市場予測の概要
中国とインドを含むアジア太平洋地域の予測は、新造機需要の年間成長率が3%になることを反映したもの。同社では「需要の急増により、同地域の航空機数は成長と機材更新の必要性に牽引され、拡大を続ける。持続可能性を追求する取り組みも推進される」と分析する。
エアバスの予測では、同地域の短〜中距離路線に対応する「A220」や、「A320neo」ファミリーといった単通路型機が16,000機必要。「A330neo」や「A350」などの中〜大型の長距離用航空機の需要については計約3,500機と見込む。同地域で近年受注を獲得したワイドボディ機は、キャセイパシフィック航空(A330neo)や、エバー航空、日本航空、大韓航空(A350)などがあり、今後も増加するとみている。
納入機の約71%は機材拡充を目的としており、29%は経年機の入れ替えと予測。脱炭素化の取り組みに寄与するという。なおエアバスの次世代ワイドボディ機は燃費を25%削減し、二酸化炭素の排出量も減らすなど、環境への影響を最小限に抑えられるとしている。
アジア太平洋地域の旅客輸送量は年間4.8%の成長を見込んでおり、世界全体の成長率3.6%を上回る。この成長に応える機体として自社のワイドボディ機を挙げ、「旅客の移動を促進するだけでなく、同地域の増大する貨物需要にも対応。電子商取引と世界貿易により効率的な貨物輸送の需要が高まっており、ワイドボディ機が大陸間における迅速で信頼性の高い輸送に不可欠な存在」と強調する。
また、同地域の貨物機市場では、250機の新造ワイドボディ貨物機が必要になる見通しで、これは世界の新造貨物機需要の10%に相当する。この需要に対応する最適な貨物機として、A350旅客機をベースに開発しているA350F貨物機を挙げており、「効率性に優れ、CO2排出量を削減し、同クラスで最も高い経済性を備えている」とアピール。A350Fは最新のICAO排出基準にも準拠し、大型貨物機市場の最新鋭機として支持されているという。同地域ではスターラックス航空が2024年初めに5機発注しているとのこと。
アジア太平洋地域では既にA350が約300機が運航されており、今後も230機が引き渡される予定。ほかにも同地域では現在、約540機が運航されているA330ceoの機材更新が進行しており、「2機種で構成するA330neoはパイロットの訓練や技術的面で高い共通性を備え、航空会社に機材更新におけるスムーズな移行を提供する」としている。