オープンテキストは11月11日、事業戦略説明会を開催した。説明会では、今年1月に代表取締役社長に就任した三浦デニース氏が、日本市場におけるAIに対する取り組みおよび事業戦略を紹介した。
同社は20年以上わたりAI機能を開発してきたが、昨年にAIビジョンかつ戦略である「opentext.ai」および生成機能ファミリー「OpenText Aviator™」を発表した。
オープンテキストのビジョン「Business 2035」
デニース氏は、2035年に向けた同社のビジョンとして「Business 2035」を紹介した。同ビジョンでは、企業が求められていることとして、「包括的な企業変革」「クラウド、セキュリティ、AIの融合」「人間の潜在能力を高めること」「信頼がビジネスの中心に」を挙げている。
企業変革としては、あらゆる仕事がAIにより再定義され、 日常的な作業をマシンが引き継ぐようになり、コネクテッドなデジタルエコシステムから真の価値が生まれるとしている。
クラウドアプリケーションはAIの広範囲な導入を可能にするが、一方、セキュリティに関する懸念は指数関数的に増加することが見込まれ、あらゆる企業がアプリケーション開発を管理するソフトウェア企業になると予想されている。
AIがもたらすメリットと課題とは
「Business 2035」からわかるように、同社は「クラウド」「セキュリティ」「AI」に注力している。デニース氏は「クラウド、セキュリティ、AIの進化によりすべてのものが自律的に動く未来がきている」と述べた。
また、デニース氏は「AIによりあらゆるものが変わることが明白になってきている。企業はAIを駆使することで、優位性を獲得するために健闘している」と説明した。
ただし、「AI革命の最先端に立っているが、矛盾にも直撃している」とデニース氏はAIが抱えている問題点も指摘した。「AIは変革の力であり、市場への対応を加速し、顧客体験をパーソナライズしてエンゲージメントを高められるが、ここには、プライバシーに関するリスクがある」(同氏)
さらに、デニース氏は「AIは競争上の優位性となるが倫理的に使用することが求められ、AI活用においては重大な責任が課せられている。つまり、AI活用のメリットは課題を上回ることが求められる」と、AIを活用する上でのポイントを指摘した。
オープンテキストの戦略「情報の再構築」
続いて、デニース氏は同社の戦略として、「情報の再構築」を紹介した。情報の再構築においては、「信頼できる情報」「次世代の自律型クラウド」 「AIとセキュリティをあらゆるところに組み込む」の3点が行われる。
デニース氏は、この戦略について、「情報は人間と機械によって処理されるが、われわれはこれまでとはまったく異なる方法で構築する。そのために、情報管理ソフトを提供する」と説明した。具体的には、「OpenText Cloud」「OpenText Aviaton」といったソリューションが提供されている。「OpenText Cloud」には、将来のナレッジワーカーに役立つAI、セキュリティ、ガバナンスのための機能が含まれているという。
「当社は、顧客が最大のデータセットを保護しながら、多くの価値を得られるよう、サポートする。これが情報の再構築」(デニース氏)
また、デニース氏は同社が早い段階からAIを開発してきたが、長い歴史の中でロボットの自動化も行ってきたことから、今後はIoTの世界でも同様のことを行うと述べた。
他社はできないAIの統合を実現
デニース氏は、コンテンツ、IT Operations、ビジネスネットワークの観点から、OpenText AviatorによるAIの統合のユースケースの紹介も行った。
コンテンツに関しては、社内の情報を集約して、対話型AIの利用を実現する。IT Operationsにおいては、ITサポートのセルフサービス化をもたらし、ビジネスネットワークに関しては、サプライチェーンのリスクの削減と自動化を促す。
例えば、ビジネスクラウドには100万社以上が接続しており、9兆以上の取引が発生しているという。デニース氏は、「ビジネスクラウドにより、世界中のどこにいても取引先と接続でき、調達の可視性やオペレーションの効率性を提供する」と述べた。
また、適切な情報に素早くアクセスできるAI機能、情報管理の人的資源を効率化できるナレッジとドキュメント管理も提供している。
デニース氏は、「当社はAI、セキュリティ、ガバナンスを包括的に提供できる。日本の顧客に対し、エコシステムを作っていきたい」と、今後の展望を語っていた。