ファインディは先般、エンジニア組織支援SasSである「Findy Team+」を通じて開発生産性を可視化した企業の中で、「開発生産性スコア」が特に優れた企業および多様な観点で開発生産性が優れたチームを表彰する「Findy Team+ Award 2024」を実施した。
3つの区分で表彰、Findy Team+ Award 2024受賞企業とは
Findy Team+は、2021年10月に正式リリースしたエンジニア組織のパフォーマンス向上を支援するSaaS。今年で3回目の開催となるFindy Team+ Awardは、Findy Team+を利用している企業を対象として、開発生産性の可視化・向上への取り組みが優れたエンジニア組織を称えるためのアワードとなっている。
今年は、開発生産性の高い開発組織を企業単位で讃える「Organization Award」、チーム単位で讃える「Team Award」、優れた開発者体験や自己組織化の促進を実現する先進的な取り組みを讃える「Frontier Award」の3つの表彰部門を設け、計48社を表彰した。
また、4月に「Findy Team+」のユーザーによって創設されたコミュニティにおいて活躍した個人も「User Community Award」として表彰された。
Organization Awardを受賞した企業
「Organization Award」では、エンジニア組織が100人以上の企業である「Large Division」、エンジニア組織が50〜100人未満の企業である「Medium Division」、エンジニア組織が50人未満の企業である「Small Division」、顧客の開発支援やコンサルティングが中心の組織や部門を対象とした「Solution Consulting Division」の4つの区分で表彰が行われた。
「Large Division」では、サイバーエージェント、タイミー、BuySell Technologies、マネーフォワード、メドピアの5社、「Medium Division」では、朝日新聞社、ココナラ、SODA、ネクサスエージェント、SHEの5社、「Small Division」では、amptalk、GOGEN、パートナーサクセス、PharmaX、Recustomerの5社、「Solution Consulting Division」では、エムシーデジタル、Future Techno Developers、モンスターラボ、ゆめみ、KDDIアジャイル開発センターの5社が選出された。
Team Awardを受賞した企業
「」では、アジャイル開発手法のチームを対象にした「Agile Division」、シーケンシャル開発アプローチのチームを対象にした「Sequential Approach Division」、独自の開発アプローチのチームを対象にした「Original Approach Division」、3カ月間での開発生産性スコア向上率が高いチームを対象にした「Quick Success Division」の4つの区分で表彰が行われた。
「Agile Division」ではand factory「Serverチーム」、HRBrain「TalentManagement」、グロービス「SREチーム」の3チーム、「Sequential Approach Division」ではエックスポイントワン「TypeScriptチーム」、ZOZO「技術本部 データシステム部 推薦基盤ブロック」、GO「バックエンド開発部」の3チーム、「Original Approach Division」では、グラファー「エンタープライズプロダクトチーム」、メドレー「医療PFプロダクト開発室 CLINICS第一開発グループ・CLINICSアプリチーム」、ユーソナー「クラウド開発チーム」の3チーム、「Quick Success Division」ではセゾンテクノロジー「HULFT-Dev1-Containerチーム」、ベーシック「ferret One Feature (Junior)チーム」、SBINFT「SBINFT Mits」の3チームが表彰された。
Frontier Awardを受賞した企業
「Frontier Award」では、優れた開発者体験が実現されているチームを対象とした「Developer Experience Division」、開発組織全体で自己組織化が促進されている組織を対象とした「Self Organization Division」、開発生産性や開発者体験の向上につながる優れた取り組みに贈られる「Best Practice Division」という3つの区分で表彰が行われた。
「Developer Experience Division」では、ドクターズプライム、Hacobu「MOVO Vista開発チーム」、viviON「Ci-enチーム」、ワンキャリア「共通基盤開発チーム」、DMM.com「アカウントサービスグループ」の5社、「Self Organization Division」ではアソビュー、ourly、アトラス、リーディングマーク、HapInSの5社、「Best Practice Division」ではカケハシ「Musubi AI在庫管理 開発チーム」、サイバー・バズ、KINTOテクノロジーズ、パーソルキャリア「プロダクト開発統括部 dodaグロース開発部」、ミチビク、楽天カード「プロダクト開発部」の6社が選出された。
KINTOテクノロジーズ 「やってみたい」を引き出す取り組み
KINTOテクノロジーズでは、フロントエンドエンジニア・バックエンドエンジニア・デザイナーなど複数職種が同一組織に在籍していることを要因として、案件ごと・職種ごとに開発の進め方が異なり、業務負荷の可視化に課題があった。
また開発案件増加に伴い、エンジニア数が急激に増えたことにより、マネジメント工数がひっ迫し、エンジニアの業務負荷を把握することが物理的に困難な状況になってしまっていたという。
Findy Team+の導入の背景について、KINTOテクノロジーズ 開発支援部の有留完氏は以下のように語った。
「弊社では、エンジニアのワークロード(生産性‧業務負荷)可視化を目的に、2022年7月にFindy Team+をトライアル導入しました。そこで一定の成果があったことから、2022年9月より3部署で本格的に導入しています」(有留氏)
一方で導入後も課題が見えてきたという。当初は、イノベーター/アーリーアダプターに属する3部署で推進していたものの、活用が進むにつれてより多くの部署で活用してもらうための施策が必要になった。また新規事業であることに加えて、部門(現場エンジニア)は忙しいため、トップダウンではなく、ボトムアップでアプローチする必要性も出てきたという。
「私たちは、エンジニアが『楽しく、前向きに働ける』環境を整えることが必要だと考えました。その前提に立ち、部門‧経営双方にとっての最適解を探す必要があったのです」(有留氏)
環境作りのための最初の取り組みとして行われたのが「プロジェクト化および経営計画への反映」だ。
同社では、開発生産性向上およびFindy Team+の利活用を目的として、全社横断の「プロジェクト」を発足。経営層、事務局、Findy社 CSの3者にて「Findy Team+を活用した生産性向上」の方針を策定した。そして、2024年1月全社キックオフにて、経営層(副社⻑)から、「開発生産性向上」を目標として掲げ、全社員に発信した。
続いて、3つのフェーズに分けて「開発生産性向上に向けた課題/解決策のパターン化と部署横断の横展開」を実施した。フェーズ1で「導入効果のパターン化/自社内有効活用事例の型化」を行い、フェーズ2で「部署ごとに責任者と作戦会議を行い、課題に照らした活用提案」、フェーズ3で「CSのオンボーディング/利活用の習慣化」に取り組む。
これらのフローを構築し、泥臭くも丁寧に、部署の課題に照らして導入を推進。事務局とファインディが双方で役割分担しながら推し進めることで、手厚いフォローを実現したという。
そして、3つ目の取り組みとして、全社組織横断で「開発生産性勉強会」を実施した。導入効果が出ている部署マネージャーが登壇し、「開発生産性向上」取り組みや「Findy Team+の活用方法」をレクチャーすることで、ナレッジの横展開を行う全社横断での「開発生産性勉強会」を複数回行った。勉強会を通じて、「使ってみたい」という部署要望を拾い上げ、事務局にてフォローを実施することで、さらなる活用促進を実現しているという。
これらの取り組みによって、Findy Team+を活用している部署は、3部署から10部署へと拡大し、社員から事務局に「興味あるので活用してみたい」との相談が寄せられるようになったという。さらに勉強会には毎回70名以上の社員が参加し、全社的に「開発生産性」への意識が向上したという効果もあるという。
「あくまで社員の『使ってみたい』という主体性を尊重し、事務局やプロジェクトとして後押しする体制で推進してきました。これらの取り組みを通して、『社員が自発的に開発生産性を意識し、推進する状態』を作り上げられていると感じています」(有留氏)